研究課題
【研究目的】本研究では、αシヌクレインの凝集体を選択的に画像化するPET分子プローブの開発を目指し、分子プローブの設計、合成、標識合成ならびに生物学的評価を行い、臨床応用可能な候補化合物を見出すことを目的とした。 【実施方法】本研究では、αシヌクレインに対する親和性と選択性を有するフェノチアジン系化合物とポリフェノール系化合物に着目し、その誘導体、標識前駆体の合成とポジトロン核種での標識ならびに脳組織への集積動態を検討した。【結果1】フェノチアジン系5化合物について、ペルフェナジン系1化合物を除き、メチルトリフレートまたはヨウ化メチルを使用するメチル化法で収率良くC-11標識可能であった。ペルフェナジン系化合物はアセトニトリル溶媒中TBAOHを塩基とすることにより、メチルトリフレートから3%の収率で目的物を得た。これらの標識化合物の脳内動態を小動物PETにおいて評価したところ、脂溶性の高い1化合物(ClogP=5.7)を除いて、投与後早期の脳への高い集積と投与後後期に脳からの放射能の洗い出しを認め、αシヌクレインをイメージングする分子プローブとして適した脳内動態を示すことが明らかとなった。脳移行性を認めなかった1化合物はサイクロスポリンAでP糖たんぱく質を阻害すると脳への取り込み増大を認めた事から、P糖たんぱく質の基質であることが示唆された。【結果2】ポリフェノール系化合物についてはメチル化の反応点が複数あるため、収率は低かったが、1化合物の標識合成に成功した 。本化合物は脳への集積性を認めなかった。【考察】本研究では、フェノチアジン系化合物がαシヌクレインイメージング剤として適した脳内動態を示すことが明らかとした。今後は、病態モデル等を用いた詳細な検討が必用である。
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