研究課題/領域番号 |
23659607
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
細田 充主 北海道大学, 大学病院, 助教 (40443931)
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研究分担者 |
尾崎 倫孝 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80256510)
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キーワード | 肝移植 / 拒絶反応 / 生体イメージング |
研究概要 |
平成24年度は、マウス肝移植モデルを肝移植後細胞性拒絶反応モデルへと拡張するため、異系統マウス間で肝移植を行い術後経過および組織学的評価をもとに条件検討を行った。 ドナーにC57BL/6マウス、レシピエントにC3H/HeJマウスを用いた異系統間肝移植では、同系統肝移植と同等の移植後生存が得られたが、移植後グラフトの組織学的評価では、門脈域に著明な炎症性細胞浸潤を認めた。このような所見は同系統間肝移植における移植後グラフトには認められなかった。 これらの炎症性浸潤細胞が肝移植後急性細胞性拒絶反応を検出するための標的細胞として妥当性があるか、また抗体プローブによるイメージングが可能であるかを検討するため、移植後グラフトの免疫染色を行ったところ、これらの細胞はCD3陽性のT細胞であり、当研究で用いた抗CD3抗体(Abcam CD3 antibody [145-2C11], ab91497)により強く染色されることが確認された。抗CD4抗体および抗CD8抗体を用いた免疫染色も行ったが、当検討における染色強度は弱かった。 これらの知見より、抗体プローブには予定通り、抗CD3抗体および抗TCR抗体を用いることとした。 次にイメージングプロトコルの検討のため、全身投与された抗体プローブが肝臓グラフトに浸潤したT細胞に結合可能か否かを検討した。当研究において抗体プローブとして用いる抗CD3抗体および抗TCR抗体を異系統間肝移植後のレシピエントマウスに陰茎静脈より全身投与し、その後サンプリングした肝臓グラフトを二次抗体により免疫染色を行うことにより、全身投与した抗CD3抗体および抗TCR抗体の検出を試みたが、現在までに全身投与した一次抗体は浸潤細胞上に検出できていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当研究では、平成23年度にマウス肝移植法を構築し、平成24年度には、異系統間肝移植によりグラフトの門脈域に著明なCD3陽性のT細胞の浸潤を生じる肝移植後細胞性拒絶反応モデルを確立し、続いてプローブ投与の条件検討を開始した。 拒絶反応モデルについては文献的知見が乏しく確立までに時間を要した。 また、プローブ投与条件検討の実験系として、抗CD3抗体を移植後マウスに全身投与し、この抗体を標的とした免疫染色による検出を試みているが、現在までにこれらは検出できておらず、投与条件は少用量より逐次的に検討しているため予定より大幅に遅れている。 そのため、当研究に関しては平成25年度までの延長を申請している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度には①全身投与により抗CD3抗体および抗TCR抗体を肝臓グラフトへの浸潤T細胞に結合させるための抗体投与プロトコルの確立、②抗CD3抗体および抗TCR抗体を用いた抗体プローブの作成、③抗体プローブを用いた生体イメージングおよび④世界肝移植学会での報告を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
予算は上記検討項目に対しそれぞれ\133,825、\300,000、\150,000、\200,000を計上しており、内容としては、実験動物に\250,000、消耗品に\333,825、旅費に\200,000を予定している。
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