研究課題/領域番号 |
23659608
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
古川 博之 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70292026)
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研究分担者 |
谷口 雅彦 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (30374333)
深井 原 北海道大学, 大学病院, 医員 (60374344)
松原 和夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20127533)
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キーワード | 灌流保存 / 心停止下移植 / 肝移植 / マージナルドナー / 臓器不足 |
研究概要 |
現在灌流保存に用いられているUWグルコネート液(UWg)を凌駕する新規保存液の開発を行うべく、各種細胞の冷保存、小動物モデル、大動物モデルによる保存実験を行い、新規臓器保存液の最適組成を模索し、最終目的である豚の心停止ドナーから灌流保存後に肝移植を行うモデルを作成し、臨床応用可能な肝グラフト灌流保存法を開発することを目的とした。 新規保存液によって、各種の細胞の冷保存実験、小動物の心冷保存移植、肝冷保存・単離肝灌流においてUW液を陵駕する効果を確認した。Ca2+ overload阻害、解糖・酸化的リン酸化促進、細胞骨格維持が細胞保護のメカニズムと考えられた。新液はラット肝48時間冷保存後の再灌流において、胆汁産生やATP産生を速やかに回復させ再灌流障害を軽減した。冷保存後の細胞・臓器の膨張やアクチンの脱重合が阻害された。しかしながら、イヌ肝、腎移植では灌流不全を来して、十分な保護効果が得られなかった。臓器の灌流不全の原因と考えられるPEG濃度を下げることで解決する可能性があり、PEGが少量の粘性の低い組成でも十分な効果が得られることは判明したが、至適濃度については最終結論は得られていない。これらの問題は、我々が最終目的とする灌流保存を用いることで解決できる可能性が考えられる。 一方、ブタによる灌流保存と肝移植のモデル作りを行った。単純冷保存を1例に、機械灌流によ臓器保存を併用したブタ肝臓移植実験を3例行った。In situ灌流と単純冷保存液はUW液を、灌流保存液にはUWg液を用いた。灌流保存は、冷温下に門脈と動脈へUWグルコネート液で灌流し、門脈へは定常流、動脈へは拍動流とした。肝移植は静脈静脈バイパスを用いて、肝動脈の吻合は、ドナーの大動脈を温存して、これをレシピエントの腹部大動脈分岐部直上で吻合した。テクニカルな問題をほぼ解決でき、モデルとしては完成したもと考える。
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