研究課題
最近その機能が報告され始めているDNAのエピジェネティクス修飾であるヒドロオキシメチル化シチジンの、癌における役割りを明らかにする事が本研究の主眼である。そこで本研究の最初にMCF7細胞の3種類の癌幹細胞マーカー(CD24/CD44, ALDH1活性, PKH26)による癌幹細胞分画と非癌幹細胞分画、mammosphere細胞と細胞株全体の合計8標本について、hMeDIP-seqを施行し、現在そのデータ解析中である。MCF7細胞では、CD24/CD44による分離よりALDH1による細胞分離がより良く、Mammosphere形成能に影響を及ぼしていることが判明したので、これらの3つの癌幹細胞マーカーの中から特にALDH1活性陽性細胞分画に特異的に変化しているヒドロオキシメチル化DNAの探索する予定である。また、TETファミリーの機能解析に関しては、現在、TET遺伝子の発現誘導細胞株の作成を初めている。乳がん細胞株MCF7(低転移性)とHs578T(高転移性)にClontech社の第3世代tet-onシステムのpCMV-TET3Gを導入し、薬剤による選択を行なっている。これによりstable発現株樹立時のclone間の形質差異の問題が解消されると期待される。
3: やや遅れている
研究代表者が京都大学薬学研究科から同医学研究科へ移動になり、研究室の立ち上げに時間を要したために、当初予定していた研究計画より若干遅れを生じている。
昨年度は、研究代表者の所属が移動になり研究室の立ち上げ、研究環境の整備に時間がかかったが、本研究に関与できる大学院生1名と実験助手1名が確保できたので、本研究を推進することが出来るようになった。
年度の研究費は、1)hMeDIP解析で抽出された候補遺伝子のハイドロキシメチル化のパターンを、乳癌細胞株と乳癌組織標本で検証することと、2)TET遺伝子をテトラサイクリンによる発現誘導系細胞株の樹立と、その細胞株を用いた細胞機能解析(細胞増殖能、細胞周期、アポトーシス、mammosphere形成能)をin vitroで行うという、2点を中心に使用していく予定である。
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