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2011 年度 実施状況報告書

熱ショック転写因子は血管再生治療の新規標的分子になり得るか?

研究課題

研究課題/領域番号 23659615
研究機関山口大学

研究代表者

美甘 章仁  山口大学, 医学部附属病院, 講師 (30372709)

研究分担者 久保 正幸  山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60420519)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード血管再生 / 熱ショック転写因子 / 虚血 / 幹細胞 / 骨髄幹細胞
研究概要

虚血性疾患が増加している現代において、血管再生治療の標的分子を同定することが治療戦略の構築に有用と考えられる。一方で、虚血応答の制御因子として熱ショック転写因子heat shock factor 1(HSF1)が知られている。そこで、我々はこれまで血管再生や血管生物学の領域では着目されていなかったHSF1が血管再生に関与するか否かについて、虚血組織での局所環境および骨髄幹細胞の機能・動態の観点から検証することを目的とした。本年度は、HSF1ノックアウトマウス(KOマウス)および野生型マウス(WTマウス)の下肢虚血モデルを用いて比較検討した。WTマウスと比較して、KOマウスの虚血下肢では血流量回復の低下と毛細血管密度の減少が認められ、虚血組織での血管新生が低下することが分かった。次に、虚血組織での血管再生因子(VEGF、SDF-1)の産生について調べたが、KOマウスにおいてVEGF、SDF-1産生の低下は認められなかった。また、骨髄から動員された幹細胞が虚血部位に集積して血管新生に関与することが知られているので、骨髄幹細胞の動員や集積といった動態について検討した。FACS解析にて虚血3日後の末梢血中のSca-1、c-kit陽性幹細胞を定量することで、骨髄幹細胞の動員を評価した。虚血前と比べてWTマウスでは幹細胞の動員が認められたが、KOマウスでは認められなかった。さらに、虚血1日後に骨髄細胞(CFSE蛍光標識)を経静脈的に投与し、虚血組織中のCFSE陽性細胞を組織学的に解析することで、集積を評価した。KOマウスの骨髄細胞を投与した際には、WTマウスの場合と比較して、集積細胞数が減少していた。以上の結果から、HSF1-KOマウスでは虚血組織での血管再生が低下することが示された。また、骨髄幹細胞の末梢血への動員や虚血組織への集積が抑制されていることが、その要因として考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画を実施できており、HSF-KOマウスを用いた検証が順調に進捗している。

今後の研究の推進方策

平成23年度に引き続いて、HSF1-KOマウスを用いて虚血組織での血管再生におけるHSF1の役割を明らかにする。HSF1-KOまたはWTマウスにX線全身照射後、HSF1-KOまたはWTマウス由来の骨髄細胞を経静脈的に投与して骨髄細胞のみ置換したキメラマウスを作製する(4通りの組み合わせ)。骨髄移植5週間後に下肢虚血モデルを作製し、虚血下肢の壊死状態および血流量の変化を評価する。また、HSF1-KOまたはWTマウス由来の骨髄細胞の細胞機能(生存、接着、遊走など)についても検証する。

次年度の研究費の使用計画

上記の研究の推進方策に基づいて、研究費(キメラマウス作製費、免疫染色、ウェスタンブロッティング用の抗体購入費)を使用する。平成23年度は、HSF1-KOまたはWTマウスにX線全身照射後、HSF1-KOまたはWTマウス由来の骨髄細胞を経静脈的に投与して骨髄細胞のみ置換したキメラマウス(4通りの組み合わせ)を用いて下肢虚血モデルを作製し、虚血下肢の壊死状態および血流量の変化を評価する予定であったが、行わなかったため、未使用額が生じた。尚、未使用額については上記の研究費(キメラマウス作製費、免疫染色、ウェスタンブロッティング用の抗体購入費)に加えて使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 熱ショック転写因子HSF1は骨髄幹細胞の動態制御を介して、虚血組織での血管新生に関与する2011

    • 著者名/発表者名
      久保正幸
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      2011年12月13日

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公開日: 2013-07-10  

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