わが国発のiPS(Induced pluripotent stem cells)細胞の樹立成功(4つの転写因子遺伝子の導入によるリプログラミング)以来数多くの萌芽的な研究が創成されているところであるが、本申請ではiPSとは根本的に原理を異にする方法により挿入変異のない万能幹細胞の創出の開発を進め、医療応用のための基盤を構築した。この私達の新法は人工合成オリゴ・マイクロRNA単独(非コード遺伝子)により新規万能幹細胞miPS(microRNA-induced pluripotent stem cells)を創出するものである。今年度は消化器幹細胞から癌化の回避に配慮した新しいmiPS技術により直接リプログラミング誘導して再生医学に応用可能な消化器幹細胞を増幅調整、将来の臨床応用に向けた次世代のリプログラミング方法として基盤を構築し、独創的な発想と準備段階に基づく挑戦的で高い目標設定を掲げた芽生え期の研究として推進した。今年度の成果として、新しいmiiPS技術により直接リプログラミング誘導のために必須のマイクロRNA情報伝達経路を描出した。この経路は、iPS細胞から内胚葉、中胚葉、外胚葉に分化誘導されるプログラムにおいて中心的役割を果たすことが試験管内及び将来の臨床応用につなげる小動物の実験系において明らかにすることができ、未来医療のための基盤を構築した。
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