研究課題/領域番号 |
23659619
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
中条 哲浩 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (20404486)
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研究分担者 |
有馬 豪男 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (90418856)
夏越 祥次 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70237577)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 内視鏡下甲状腺切除 / 口腔アプローチ |
研究概要 |
本研究は、吊り上げ式の経口アプローチによる内視鏡下甲状腺切除術の開発・術式の確立である。本術式をより安全により簡便に行えるように改良することを目的とし、そのための新しい手術器機の開発を行う。(1)分解・着脱式鋼線筋鉤(プロトタイプ)のBrush up:本術式に使用すべく分解式の皮膚穿刺型の鋼線筋鉤を開発し、本年度中に4回の試作品のBrush upを行った。現在ほぼ最終型のプロトタイプができあがっている。なお、本筋鈎は特許出願を行っており、すでに医療機器メーカーと製品化について相談中である。 本年度で最も成果のあった部分である。(2)内視鏡用カメラホルダーおよび専用吊り上げ器機の開発:内視鏡カメラホルダーを固定できる専用の吊り上げ器機の開発も行った。さらに内視鏡鉗子類を操作しやすいように固定する専用器具もプロトタイプを開発し、現在試用中である。これについては来年度も引き続きBrush upを行う。(3)国際学会での経過発表:H24年3月8日、本術式についてアメリカ内視鏡学会(SAGES)の口演発表に採用され報告を行った。(4)論文発表:H24年3月、本術式についての報告を英文誌Surgical endoscopyに投稿した。(5)先進医療への登録と症例数の蓄積:現在までに8例の手術を行い、feasibilityを確認できている。本術式の先進医療への登録申請を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は以下の(1)~(4)手術器具についてプロトタイプの作製を計画した。さらに(5)~(7)についても積極的に行うことを目標とした。(1)口腔内~前頚部の皮下トンネルの内腔保持・組織保護のためのプロテクター開発。(2)口腔内操作の妨げにならないカメラホルダーの開発。(3)皮下の剥離が可能なカメラキャップの開発。(4)視野確保のための分解・着脱式筋鉤の開発・Brush up。(5)論文発表。(6)先進医療への登録と症例数の蓄積。(7)国際学会での経過発表。(1)および(2)については開発が進行しており、Brush up を行っている段階である。(3)についても現在試作品を試用中である。(4)については予想以上の進展があり、特許出願・実際の製品化の話まで進んでいる状況である。本年度最も成果のあった部分である。(5)については内視鏡手術分野では最も権威のあるアメリカ内視鏡外科学会の口演発表に採択され、発表を行った。大きな成果である。(6)についてはもう少し症例の蓄積を進めたいところで、さらなる成果を得るべく努力したい。(7)についてはこれまでの症例について平成24年3月に英文雑誌に投稿を行っている。以上より、当初の計画に沿っておおむね順調に進展していると自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)平成23年度に試作したプロテクター、カメラホルダー、カメラキャップ、着脱式筋鉤のプロトタイプ器具のさらなるBrush up:平成23年度に試作・試用を行った各器具の微調整を行う。各々の試用で指摘された問題点を検討し、改良を行う。改良型の作製・試用を重ねることでさらなるBrush upを行い、各々の器具の最終型を確立する。(2)術式の最終型の確立と論文発表: 上記器具を効果的に用いた本術式の最終型を確立し、症例を重ねて英文医学雑誌に発表する。手術時間についても、安全性を格段に高めながら従来のOpen手術と同等以上での施行を目標とする。(3)国際学会での発表: 論文発表とともに国際学会での報告を行う。このような場で世界の内視鏡外科医に批評してもらう、あるいは意見を出してもらうことで本術式のさらなる改善点を見いだし、甲状腺手術の標準手術のひとつとしての地位を確立していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
新しい手術機器の開発には思った以上に資金が必要である。次年度の研究費はほとんどすべてプロトタイプの手術機器の開発に使用する。(専用カメラホルダー、専用つり上げ機器、専用剥離用カメラキャップ、口腔内プロテ クターなど)
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