研究課題/領域番号 |
23659623
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
寺谷 工 自治医科大学, 医学部, 講師 (70373404)
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研究分担者 |
小林 英司 自治医科大学, 医学部, 研究員 (00245044)
藤本 康弘 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80335281)
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キーワード | 再生医療 / 間葉系幹細胞 / 糖尿病 / 細胞移植 / iPS細胞 |
研究概要 |
平成24年度に実施した実験は以下の3項目である。 ラットiPS細胞の樹立:addgene社から購入した山中4因子を、大腸菌を用いて各ベクターを増幅させた。次に野生型LEWラットの脂肪組織由来間葉系幹細胞にリポフェクション法を用いてiPS細胞の候補細胞株をpick-upした。未分化マーカーとしてアルカリフォスファターゼ染色、PCR法によるNanog遺伝子の発現有無、SCIDマウスの精巣に細胞移植してテラトーマ作製の確認などを行い、候補細胞株を3つに絞り込んだ。更に既に作製したpPDX1-EGFPベクターをリポフェクション法で各iPS細胞に導入した結果、EGFP陰性である事を確認した。 膵島細胞におけるpPDX1-EGFPベクターの作動確認:自治医大に併設されている先端医療技術開発センター(通称:Pigセンター)にて実験終了したブタから膵臓を摘出し、酵素処理法を用いてブタ膵島を分離した。アクターゼを用いて膵島をSingle細胞化し、RPMIを主体とした培養液にて培養を行い、培養開始48時間目にリポフェクション法を用いてpPDX1-EGFPベクターを導入して蛍光顕微鏡下にてベクターの作動有無を確認した。同様にラット膵島を用いてもベクターの作動状況を確認した。 STZ投与による糖尿病モデルラットを用いた「pPDX1-EGFP-ヒトMSC」の移植実験:生理食塩水に溶解したSTZをラット腹腔内に投与し、人為的に糖尿病化モデルを作製した。また膵臓障害の程度はSTZの投与回数により制御した。タクロリムスを投与した各膵臓障害モデルラットの陰茎静脈よりpPDX1-EGFP-ヒトMSCを1.0x10e6個投与した結果、3回STZ投与を行ったラットの膵臓内に数個のEGFP陽性細胞の存在を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
明治大学の膵欠損ブタを用いる為に委員会に提出が必要な申請書類の審議が自治医大および明治大学の双方で難航した点が挙げられる。本年度において漸く自治医大の委員会で承認が得られた為、これから大動物を用いた実験が進められる。一方、前年度に再セットした研究計画については明治大学の欠損ブタを用いる実験以外は全て順調に進んでおり、これまでの研究達成度の遅れを取り戻す為に努力している。更にMSC分泌因子が劣化膵島を賦活化する効果についての検討はラット、ブタ、そしてヒトで明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は次の4項目について実施する pPDX1-EGFPラットiPS細胞由来キメラブタの作製:共同研究者である『明治大学の長嶋比呂志教授』より先天性膵臓欠損ブタを提供して頂き、このブタの受精卵にpPDX1-EGFPラットiPS細胞を移植する。偽妊娠雌ブタの子宮に細胞移植済み受精卵を戻し、妊娠8~12週齢目に胎児を帝王切開で摘出する。蛍光顕微鏡下にて移植iPS細胞がブタ胎児の組織内に組み込まれていることを確認すると同時に、膵原基を分離・培養する。 pPDX1-EGFPヒトMSC由来キメララットの作製:STZ投与により膵臓障害を与えたラットの膵臓内に陰茎静脈から移植したpPDX1-EGFPヒトMSCをFACSにより純化培養し、インスリン産生能や糖応答性などの確認を行う。 MSC分泌因子を用いた分離膵原基の成熟促進の検討:キメラ化した個体の膵原基を分離し、MSC分泌因子を培養液に添加する事で膵原基細胞の増殖および成熟b細胞への分化促進の有無を調査する。可能であれば有効因子の同定を行う。 培養膵原基由来b細胞の糖尿病に対する治療効果の検討:糖尿病モデルラットまたはマウスに培養系で成熟させたb細胞を移植し、血糖値の正常化有無についての検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
ブタ胚やMSCそしてiPS細胞の培養など「消耗品」を中心に使用する。 現段階において計画外(「申請書に記載していない」の意)の機器購入などは無く、計画通りに研究費を分配して有効的に使用する。
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