研究課題/領域番号 |
23659623
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
寺谷 工 自治医科大学, 医学部, 講師 (70373404)
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研究分担者 |
小林 英司 自治医科大学, 医学部, 客員教授 (00245044)
藤本 康弘 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80335281)
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キーワード | 再生医療 / 間葉系幹細胞 / 糖尿病 / 細胞移植 / iPS細胞 |
研究概要 |
平成25年度に実施した実験は以下の3項目である。 pPDX1-EGFPラットiPS細胞と胎児ブタ膵原基との共培養実験:前年度に樹立したpPDX1-EGFPラットiPS細胞と妊娠8週齢の胎児ブタから摘出した膵原基を混合して培養を行った。使用した培養液は市販されている肝細胞培養液を用いた。培養開始28日目に膵原基細胞はブドウの房の様にコロニーを形成し、その周辺にEGFP陽性のラットiPS細胞の存在が確認された。一方、膵原基を加えていない群においてはEGFP陽性細胞の存在は確認されなかった。従って、膵原基細胞からPDX1発現細胞を誘導する因子が分泌されている事が示唆され、またin vitroの条件下ではあるが、種を超えて分化可能である事が判明した。 pPDX1-EGFPヒトMSC細胞のと胎児ブタ膵原基との共培養実験:先に示したpPDX1-EGFPラットiPS細胞実験と同様の実験を行った結果、ヒトMSCからEGFP陽性細胞は確認されなかった。前年度のSTZ投与した糖尿病モデルラットに移植した結果では僅かではあるがEGFP陽性細胞の存在を確認している。以上の事からin vitro分化誘導では、①MSCをアクチビンやレチノイン酸などで前処理する必要がある、②膵原基からの分泌因子に別のサイトカインを添加する必要がある、以上2点について今後検討する必要性が示唆された。 MSC分泌因子の膵島の賦活効果:MSCから分泌される因子が共培養している膵島に影響を与えるかどうかの検討を行った結果、既存の臓器保存液に浸し冷保存した膵島ではATP含有量が低下したが、MSC分泌因子を保存液に加えた膵島ではATP含有量の低下が抑制され、またSTZ投与した糖尿病モデルSCIDマウスにおいても血糖値の改善効果が確認された。以上の結果より、MSCと膵原基共培養実験ではMSCから分泌される因子が膵原基細胞の成熟化亢進に寄与している事が示唆され、in vitro系でヒトMSCから膵細胞を作製する際には成熟化に寄与する因子の拮抗剤を添加する必要がある事が示唆された。
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