研究課題/領域番号 |
23659626
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
上田 しのぶ 東京医科大学, 医学部, 助手 (00521874)
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研究分担者 |
黒田 雅彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (80251304)
高梨 正勝 東京医科大学, 医学部, 助教 (80312007)
大野 慎一郎 東京医科大学, 医学部, 助教 (90513680)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 癌 / microRNA / エキソソーム |
研究概要 |
microRNA(miRNA)はがんの発生や抑制に関与しており、血中ではエキソソームによって運ばれている。また、がん幹細胞は現在の治療法では残存し再発や転移を起こす可能性がある。応募者らはがん幹細胞の増殖を抑制するmiRNAをエキソソーム中に取り込ませ、血中に投与することによってがんの治療ができると考えた。さらにがん幹細胞に結合する分子をエキソソーム膜上に発現させることにより、miRNAががん幹細胞内へ高率に侵入可能となると考えた。本研究ではエキソソームによるmiRNAの新しいデリバリー法を確立し、がん幹細胞を標的とした治療への応用を目指している。今年度は乳がん細胞株に結合可能な分子をエキソソーム膜上に発現させることによって、がん細胞内へのmiRNAの導入効率が高まるかどうかの検討を行った。乳がん細胞膜に存在するEGFRに対するリガンド(EGFR結合ペプチド:GE11)をHEK293細胞に発現させ(GE11/HEK293細胞)、培養上清よりエキソソームを超遠心法によって精製したところ、GE11をエキソソーム膜上に発現させることことができた。このGE11ペプチドはEGFRに結合するが、下流のシグナルを活性化させないことが報告されている。GE11発現エキソソームは、より効率よく乳がん細胞(HCC-70)に接着し、取り込まれることを確認した。さらには乳がん幹細胞の維持に関与していることが報告されているlet-7aをGE11/HEK293細胞に導入することにより、let-7aを内包したGE11発現エクソソームを作製することができた (let-7a/GE11/HEK293)。マウスにヒト乳がん細胞(HCC-70)を移植し、作製したエキソソーム(let-7a/GE11/HEK293) を尾静脈より投与すると、がん細胞増殖抑制効果を示すことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
23年度はEGFまたはGE11発現を発現するHEK293細胞の作製とこれらの細胞の培養上清から精製したエキソソームの膜上へのEGFまたはGE11の発現確認までを行う予定であったが、膜上へEGFまたはGE11を高発現したエキソソームの作製に成功したと同時に、エキソソーム内にlet-7aを内包させることができた。さらにはlet-7aを内包したGE11発現エキソソーム (let-7a/GE11/HEK293)が、in vivoにおいてがん増殖抑制効果を示すことが明らかとなった。in vivoでのがん増殖抑制効果の検討は25年度に予定していたが、当初の計画以上に研究が進展しており、今年度行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
let-7aを内包したGE11発現エキソソーム(let-7a/GE11/HEK293)は乳がん移植モデルマウスにおいて、乳がんの増殖を抑制することが明らかとなった。今後は実用化に向けて、1) GE11発現エキソソームのがん細胞への導入効率の検討やがん幹細胞への導入効率の検討を行う。また、2) 内包するmiRNA (let-7a) のエキソソームへの内包効率やがん細胞への取込み効率についても検討する。miRNA をエキソソーム内へ効率よく内包する手法についても合わせて検討する。3) EGF全長発現エキソソームとGE11発現エキソソームとでは、どちらが高い細胞内へのmiRNAの導入効率を発揮するかについても検討する計画である。GE11はEGF-EGFR結合時の細胞増殖シグナル伝達が起こらないため、EGF全長発現エキソソームよりもGE11発現エキソソームの方が導入効率は低くても、がんの増殖抑制効果が高いことが予想される。これを証明するためには、エキソソーム膜上に発現させるEGF発現量とGE11発現量、それぞれのエキソソームに内包させるlet-7a の量を合わせた上で比較検討しなければならない。これらの条件設定を行い、GE11発現エキソソームの乳がん治療への有用性を示すことを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度未使用額と次年度請求額合わせて1,168,314円の使用予定である。そのうち学会発表のための旅費として100,000円を使用する計画であり、それ以外は薬品・試薬、プラスチック器具、実験動物購入費などの物品費として使用する予定である。
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