研究課題
microRNA(miRNA)はがんの発生や抑制に関与しており、血中ではエキソソームによって運ばれている。また、がん幹細胞は現在の治療法では残存し再発や転移を起こす可能性がある。応募者らはがん幹細胞の増殖を抑制するmiRNAをエキソソーム中に取り込ませ、血中に投与することによってがんの治療ができると考えた。さらにがん幹細胞に結合する分子をエキソソーム膜上に発現させることにより、miRNAががん幹細胞内へ高率に侵入可能となると考えた。本研究ではエキソソームによるmiRNAの新しいデリバリー法を確立し、がん幹細胞を標的とした治療への応用を目指している。これまでに乳がん細胞膜に存在するEGFRに対するリガンド(EGFR結合ペプチド:GE11)をHEK293細胞に発現させ(GE11/HEK293細胞)、GE11/HEK293細胞の培養上清よりエキソソームを超遠心法によって精製したところ、GE11をエキソソーム膜上に発現させることことができた。このGE11ペプチドはEGFRに結合するが、下流のシグナルを活性化させないことが報告されている。GE11発現エキソソームは、より効率よく乳がん細胞(HCC-70)に接着し、取り込まれることを確認した。さらには乳がん幹細胞の維持に関与していることが報告されているlet-7aをGE11/HEK293細胞に導入することにより、let-7aを内包したGE11発現エクソソームを作製することができた (let-7a/GE11/HEK293)。マウスにヒト乳がん細胞(HCC-70)を移植し、作製したエキソソーム(let-7a/GE11/HEK293) を尾静脈より投与すると、がん細胞増殖抑制効果を示すことが明らかとなった。
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