研究課題/領域番号 |
23659627
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
安波 洋一 福岡大学, 医学部, 教授 (00166521)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | インスリン産生細胞 / 糖尿病 / 膵島移植 / iPS細胞 |
研究概要 |
iPS細胞の臨床応用を目指す研究の一つとして、糖尿病の治療を目的としたインスリン産生細胞の創出があるが、未だ成功例はない。 本研究の目的は膵島細胞移植の手法を用いて、iPS細胞よりインスリン産生細胞を創出することにある。具体的にはin vivoで単離膵島細胞とiPS細胞を共存、もしくは融合させ、移植のドナーとして使用し、移植膵島細胞が提供するin vivoの環境下(ニッチ)で、効率的にiPS細胞がインスリン産生細胞へ分化するか検討した。1.In vitro: in vitro でブタ膵島とマウスiPS細胞を20%(正常)もしくは高濃度酸素下(95%)で培養した。その結果、高濃度下培養で ブタ膵島(50個)とマウスiPS細胞(one colony)が 数日後には一塊を形成し、共存することが判明した。2.In vivo: 正常もしくはSTZで糖尿病を作成したヌードマウスの腎皮膜下に上記のブタ膵島+iPS細胞塊を移植し、経時的に観察した。 STZ糖尿病マウスの血糖は移植後正常化しなかった。移植後30日の組織学検索で、腫瘍形成が認められ、iPS細胞由来のテラトーマであった。しかしながら、腫瘍内にサイトケラチン陽性上皮よりなる管状構造組織が存在し、その一部にインスリン陽性細胞が出現していた。インスリン陽性細胞はサイトケラチン陰性であった。別の部位ではインスリン陽性細胞が細胞塊を形成している部分も認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた移植実験を完了できた。ただ、胎児膵島を用いた実験を行うまでには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
移植膵島とiPS細胞由来インスリン産生細胞の識別が問題となる。データの正確性を確固たるものにするには種特異的インスリン抗体による識別に加え、iPS細胞への何らかのマーカー(例えばバーコード)を移入し、新たな識別マーカーとし、データを解析する必要があり、現在、検討中である。また、iPS細胞に直接インスリン分泌細胞の分化に関与する転写因子をtransfectionし、インスリン産生細胞の発現を誘導する試みも開始している。これらの実験ではin vitroもしくはSTZ糖尿病ヌードマウスへの移植モデルを用いたin vivoでのインスリン産生細胞誘導を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題を遂行するに際して設備備品は全て現有しており、新たな購入はない。研究経費は全て実験遂行に必要な消耗品費、また、資料収集、成果発表に関する旅費に充当する。経費の内訳は以下の通りである。消耗品費:実験動物 50万円、抗体など試薬 35万円国内旅費:資料収集(再生医療学会 横浜)2泊3日、10万円外国旅費:研究打ち合わせ(米国ロスアンジェルスCity of Hope 研究所、5泊7日)35万円
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