研究課題
iPS細胞の臨床応用を目指す研究の一つとして、糖尿病の治療を目的としたインスリン産生細胞の創出がある。現在までにインスリン産生細胞を作成できたとの報告はあるが、正常膵島と異なり、グルコース応答性がなく、また移植後に腫瘍を形成する、さらには十分量のインスリン産生細胞が得られないなどの未解決の問題が山積している。本研究ではiPS細胞より十分量のインスリン産生細胞を創出することを試みた。平成23年度の研究で膵島細胞移植の手法を用いて、ドナーとレシピエントを識別する為に、ブタ単離膵島細胞とマウスiPS細胞用いた。その結果、STZで糖尿病を作成したヌードマウスの腎皮膜下に上記のブタ膵島+iPS細胞塊を移植し、経時的に観察すると移植後30日に形成された腫瘍内にサイトケラチン陽性上皮よりなる管状構造組織が存在し、その一部にインスリン陽性細胞が出現することが判明した。上記結果はiPS細胞よりインスリン産生細胞への分化を示唆しているが効率性の向上は不明であった為にiPS細胞より直接in vitroで インスリン産生細胞へconversionする方法へ変更して実験を行った。まず、iPS細胞を亜セレンサン、インスリン、トランスフェリンを含有する特殊培地で培養し、インスリンを含めた膵内分泌ホルモンのメッセージ発現をqPCRで検討した。そして上記培養条件でインスリンI,インスリンIIのメッセージが発現することが判明した。更にインスリン産生細胞創出の効率を上げるために現在インスリン産生細胞への分化に必須の転写因子であるPdx1,Ngn3ならびにMafAをiPS細胞に同時にco-transfectionする実験を行っている。
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Am J Transplant
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Transplantation.
巻: 93(10) ページ: 983-8
10.1097/TP.0b013e31824d3508