研究課題
我々は中性子捕捉療法を基盤とする新規の化学放射線療法を推進しているが、従来の放射線治療において用いられるX線量を軽減させた形で同当の効力を引き出す治療法との併用効果についても検討している。本年度は、カルボキシル基結合ポリエチレングリコール(PEG-C)を基盤とした多元複合体ポリマーに金属化合物を封入し送達できることに基づき、GadotheridolをPEI/PEG-Cの三元複合体に封入し、腫瘍内送達能を検証した。作成した三元複合体のサイズは、約120nmで均一であった。腫瘍内投与の場合、投与2時間後および12時間後のGd濃度は、それぞれGd/PEIでは53.7ppm、22.5ppm、Gd/PEI/PEG-C/JTS-1では21.9ppm、12.3ppm、Gd溶液では 17.4ppm、6.8ppmであり、投与2時間後Gd/PEIではGd溶液投与に比較して約3倍の集積性を認めた。静脈投与では投与2時間後および12時間後のGd濃度は、それぞれGd/PEIでは4.0ppm、1.2ppm、Gd/PEI/PEG-C/JTS-1では9.8ppm、2.7ppm、Gd溶液では1.1ppm、0.0ppmであり、投与2時間後Gd/PEIではGd溶液投与に比較して約4倍の集積性が認められた。LacZ染色を用いてGd/PEIよりもGd/PEI/PEG-C/JTS-1が分散性に優れていることがわかり、投与Gd量をそろえることによりGd/PEI/PEG-C/JTS-1の増強効果が期待できる。PreliminaryにGadotheridol(279.3mg/ml; MW:558.69)存在下でX線照射を行うと、非照射群と比較して Gd: 3.93mgの条件では21%抑制、Gd:1.96mgの条件では29%抑制を認めた。GdNCTによる腫瘍増殖抑制効果と合わせたGd-X線併用効果も期待できる。
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Biomedecine & Pharacotherapy
巻: 67 ページ: In press
Biopha.2012.11.010