研究課題/領域番号 |
23659642
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
川口 雅彦 金沢大学, 大学病院, 助教 (60552982)
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研究分担者 |
石川 紀彦 金沢大学, 大学病院, 講師 (50343182)
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キーワード | 腹腔鏡下手術 / 腹水中手術 / 肝切除術 |
研究概要 |
本年度は、昨年度のドライラボ実験を踏まえて、実際の腹水中腹腔鏡下手術を生体動物を用いて行った。当初の計画では豚を予定していたが、動物個体費用、実施上の制約として鉗子の大きさ、エネルギーデバイスの有効長、大量の生食の消費などの問題が出現したため、当初の目的を損なわない代替動物としてウサギの実験に変更した。 具体的な研究内容は、ウサギを全身麻酔下に小開腹を行い腹腔鏡用のポートを装着、その上で温生食を腹腔内に注入し腹水中腹腔鏡下手術を行った。肝切除にはオリンパスのレゼクトスコープを用いて実際に水中肝部分切除を行う実験系を確立した。水中での肝切除は視野の展開、エネルギーデバイスの有効性を含めて実施可能性が示唆された。続いて、ウサギを6羽ずつ通常の気腹下の通常の腹腔鏡手術群と腹水中手術群を行った群に分けて肝切除実験を行った。それぞれの群において生理学的変化、生化学的変化、病理組織学的検査を施行し比較を行った。いずれの結果でも有意差をみとめなかった。 腹水下での手術を確立したことは、今までの報告にない研究である。また視野の展開や他目的のエネルギーデバイスで実際に肝切除に使えるかどうかが懸案であったが、安全に施行できることが証明された。試験的に腹水下の手術を動物実験で行った報告はあるが、実際の研究として比較実験を行ったものはなく、エビデンスとして重要な研究と考える。生体動物実験において腹水中肝切除が安全に行えることが証明されたことは、本術式をヒトに応用するのに大きな前進となる。本研究の最終目標となるロボット水中肝切除への準備として十分なものとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、生体動物を使用して腹水中での肝切除術を施行した。 実際の実験系を確立したことで今回の研究の主要な目的である腹水中手術と気腹下手術の比較実験を施行した。 目的動物が、豚からウサギになったが、本研究の実験目的に照らして大きな変更にはならないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、実際に手術用ロボットを用いて腹水中手術の実効性を明らかにする。また超音波検査装置を用いて術中のリアルタイムな検査を実際に行う。 同時に本年度の研究成果である腹水中手術の動物実験結果は、学会発表や論文発表を行い広く示していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、研究の最終的な目的であるロボット手術、超音波検査を併用した手術を行なっていく。消耗実験資材に加えて、学会発表や論文発表を行う。とくに国際発表目的に英文校正、査読の費用を必要とする。 尚、今年度の未使用額¥8,001については効率的な予算執行により端数が生じ、未使用額となった。
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