研究課題/領域番号 |
23659644
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
關野 考史 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (40362165)
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研究分担者 |
村瀬 勝俊 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10610438)
木村 真樹 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (20422727)
関野 誠史郎 岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (20610398)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | マイクロバブル生理食塩水 / 大腸穿孔 / 腹膜炎 / 灌流洗浄 / 腹腔鏡 |
研究概要 |
1.腹膜炎モデルの作成→自然経過(生存率):盲腸(小腸、バウヒン弁を温存して)をsilkで結紮したのち、18G針で2回盲腸を穿刺し盲腸を圧迫して便を絞りだす。腹腔内に腸管を戻し、腹壁をモノフィラメント1層で閉腹した。200~250gのラットの2回穿刺モデルでは2PODまでに約60%の生存率があり(他の文献上では0~25%の死亡率)、4回穿刺モデルを作成し、その生存率が0~20%で安定した腹膜炎モデルを作成することができるようになった。2.生理食塩水、マイクロバブルでの洗浄量・タイミングの決定:当初の計画どおり長時間の腹膜潅流をすると、生食群での生存率も上昇し、マイクロバブルでの洗浄との比較が困難となる。腹腔鏡下での洗浄では十分な洗浄が困難で少量でも洗浄効果があることを証明できればよいので、生存率に差ができる洗浄量について検討した。【研究成果】1.洗浄タイミング・量:洗浄のタイミングは30分後、60分後で、洗浄量については10ml、20mlにて検討したところ、いずれも生理食塩水洗浄群(S)、マイクロバブル生理食塩水洗浄群(M)で生存率に有意な差は認められなかった。生存率に一番違いのあった条件は以下であった。(30分後20mlの洗浄での生存率 (S)群55%、(M)群80% (n=9) Log-rank検定 P=0.28)2.マイクロバブルの細菌凝集作用の可能性:マイクロバブルで腹腔内を洗浄すると白色の浮遊物が出現し(生理食塩水での洗浄群ではみられない)、洗浄液のグラム染色でグラム陰性桿菌が線維組織とともに集塊を形成している像が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2群の生存率に差が認められず、マイクロバブルの洗浄効果の優意性を証明するに至っていない。しかし、マイクロバブルに細菌の凝集作用がある可能性が高く、客観的データでそれを示せれば有効性を証明できる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロバブル生理食塩水だけでは洗浄効果が弱く、生理食塩水との差が証明できなかった。しかし、細菌凝集作用を利用することで洗浄効果は期待できると考える。マイクロバブルの洗浄効果を高めるため、マイクロバブルの安定化(マイクロバブルは短時間で消失する性質がある)を図る必要がある。少量の添加剤(Palozens R-004 大豆から精製した界面活性剤)を使用し、マイクロバブルの安定化ができる報告があり(Characterization of a soybean oil-based biosurfuctant and evaluation of its ability to form microbubbles, Bioresource Techno.101 3711-3717.2010)これを使用して再実験を試みる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験用動物はSDラット1匹2,300円程度と考え、年間100匹程度は必要と考えられる。飼育費などと併せて1年間で50万を計上する。また、研究成果を国内、海外で発表を行うための旅費、投稿料などに30万円を計上する。
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