研究課題/領域番号 |
23659652
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永井 英司 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30264021)
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研究分担者 |
鬼丸 学 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (80529876)
井上 重隆 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (00529802)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 膵癌 / desmoplasia / 膵星細胞 |
研究概要 |
平成23年度は以下のことを明らかとした。(1)ヒト膵星細胞株の作成とその同定 平成23年度現在までに、膵癌患者より得られる手術切除標本を用いて、BachemやApteらにより報告されたout growth法により膵癌手術標本よりヒト膵星細胞株を30株以上作成し、膵星細胞の特徴とされるMyofibroblast様の形態を呈し、α-SMAが陽性であることを確認した。これにより、膵癌由来のヒト膵星細胞を用いた実験の重要な基盤を整備できたと考えてる。(2)膵星細胞とそのdesmoplasiaを抑制する新たな治療薬の同定およびその分子生物学的作用の解析 膵癌でのdesmoplasia形成機序に関する知見に基づいて、その癌間質相互作用を抑制する薬剤を文献より網羅的に検索し、現在までに2つに薬剤を選択した。平成23年度はその内の特発性肺線維症の治療薬であるピルフェニドンが、膵癌間質で中心的役割を果たす膵星細胞において、その、増殖、浸潤能を抑制し、癌間質相互作用に関与するTGF-β1、FGF、PDGF-Aなどの増殖因子やdesmoplasiaの構成器質であるコラーゲンIやフィブロネクチン、ペリオスチンの発現を抑制しうることを発見した。これらの結果はピルフェニドンが膵癌のdesmoplasia増生を抑制しうることを示す重要な結果と思われる。この結果を踏まえ、平成24年度は、ヌードマウスを用いた膵癌細胞と膵星細胞の同所膵癌モデルに対して同薬剤を投与し、膵癌の代表的な抗癌剤であるGemcitabineと併用し、膵癌細胞への抗癌剤の到達効率を測定し、抗腫瘍効果を検討する。 また、腫瘍の組織学的評価も行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年中の予定実験を終えており、おおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の実験予定通りに計画が進行しており、大きな実験計画の変更は予定していない。当初の実験計画通りに、平成24年度実験計画を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の遂行に必要な主要装置(共焦点レーザー顕微鏡、in vivo蛍光イメージャー、リアルタイムPCR, 蛍光顕微鏡、遺伝子導入装置、セルソーター、バイオアナライザー、ナノドロップ、FACS機器など)など大型実験機器に関しては既に研究室内に設置されており、すべて実験可能な状態であるため、新たな購入計画はない。この他の機器(透過型電子顕微鏡、DNAシークエンサーなど)についても学内の研究支援センターにおいて利用可能な状態であり、研究経費において新たな設備備品の購入は不要である。消耗品においては、qRT-PCRを行うための試薬やプライマーの購入、in vitro実験を行うための抗繊維化薬試薬の購入、in vivo実験を行うにあたり、マウスやマウス投与のための抗線維化薬の購入を予定している。
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