研究課題/領域番号 |
23659652
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永井 英司 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30264021)
|
研究分担者 |
鬼丸 学 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80529876)
井上 重隆 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00529802)
|
キーワード | pancreatic cancer / pirfenidone / desmoplasia / gemcitabine / periostin |
研究概要 |
昨年度までは、特発性線維症治療薬であるPirfenidoneが膵星細胞の増殖能、浸潤能、遊走能を抑制し、膵星細胞と膵癌細胞における癌間質相互作用を抑制することを明らかとした。本年度は膵癌皮下移植マウスモデルを用いた検討において、Pirfenidoneが膵癌細胞株と膵星細胞を共移植して形成される腫瘍の増大を抑制した。Pirfenidoneは膵癌細胞株のみから形成される腫瘍の増大には抑制効果を示さなかった。形成された腫瘍の免疫組織学的検索において、膵星細胞の増殖やcollagen、periostinなどの細胞外器質の増生が抑制されていることを認めた。膵癌同所移植マウスモデルへのPirfenidoneとgemcitabineの併用投与により、併用投与がそれぞれの単剤投与よりも著明な腫瘍抑制効果を示し、腹膜播種や肝転移の頻度を著明に減少させることを明らかとした。Gemcitabine単独投与にはdesmoplasia抑制作用は認めなかった。これらの結果よりPirfenidoneがdesmoplasiaを、gemcitabineが膵癌細胞を治療標的とすることで、両者が相乗的に作用し膵癌に対して強力な抗腫瘍効果を示したと考えられる。本研究により、膵癌のdesmoplsaia形成が、pirfeniodoneにより抑制されることを明らかとし、Pirfenidoneとgemcitabineの併用療法は膵癌における有効な治療戦略として期待される。これらの結果はCancer Research誌において報告した。
|