研究課題/領域番号 |
23659657
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
夏越 祥次 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70237577)
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研究分担者 |
上野 真一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (40322317)
上之園 芳一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特任准教授 (60398279)
内門 泰斗 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30464465)
喜多 芳昭 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (30570692)
橋口 照人 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (70250917)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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キーワード | N型糖鎖 / 消化器癌 / バイオマーカー / 食道癌 / 糖鎖発現プロファイル / 網羅的解析 |
研究概要 |
食道癌は、診断技術の向上や、放射線治療・化学療法など集学的治療の発達により予後は向上してきた。しかし、SM層への浸潤により、リンパ節転移をきたしやすく、他臓器浸潤もきたしやすい悪性度の高い消化器癌の一つである。食道癌の腫瘍マーカーは、現在CEA、SCCで、進行癌でも陽性率は高くない。糖鎖は,タンパク質の翻訳後修飾をなす重要な生体分子の一つで,発生・分化・増殖・がん化などに伴い糖鎖構造が変化し、すでにCA19-9やSLXがシリアルLeグループの糖鎖抗原として臨床応用されている。最近、肝癌でフコシル化AFPが悪性度を示すベイオマーカーとして注目されるようになった。 今回、食道癌患者を対象とし、血清中の糖鎖の網羅的解析を行い、食道癌に特異的な糖鎖マーカーを検索した。得られた糖鎖発現プロファイル解析で、診断の可能性を検討した。2007年から2009年までの同意の得られた食道癌患者37例と健常者の11例。検体の血漿から、タンパク質と修飾N型糖鎖を遊離、ヒドラジド基を有するビーズで遊離N型糖鎖を標識した後に精製分離、質量分析を行った。得られたデータをSIMCA-P+を使用し多変量解析した。 得られた糖鎖の発現パターンをもとに、健常者群と食道癌患者群との間でOPLS法による層別化が有意に可能であった。また、健常者群と食道癌患者群間で、両者の層別化が可能な発現糖鎖が6つ抽出可能であった。この6糖鎖を利用し、健常者と食道癌患者の半数症例との間で判別モデルを構築し、残り半分の食道癌患者で判別可能かを検証したところ、モデルのAccuracyは,87.5%であった。 食道癌患者のおける血清中の糖鎖の網羅的解析を行い、6糖鎖を抽出し、その6糖鎖から食道癌患者を判別することが可能であった。食道癌に特異的な糖鎖マーカーとして利用できると考えられた。
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