研究課題
*仮説「血液凝固・IFNγ・PAI-1は肝線維化・発癌機構を制御する」の提唱と検証を目的とし、研究を行った。平成24年度は慢性期の肝線維化を調べるべく観察期間を延長し、かつ前年度の実験で肝線維化にPAI-1、tPAが関わっている可能性が示唆されたため、BDL後3週間での野生型マウスとPAI-1欠損マウスにおける肝障害、肝線維化を調べた。すると、BDL後、肝障害に関しては野生型マウスに比べ、PAI-1欠損マウスで軽減される傾向があった。また、肝線維化の程度もSirius-Red染色をもとに数値化を行い、PAI-1欠損マウスで有意に抑制される事がわかった。この時の遺伝子発現に関してはPAI-1欠損マウスでt-PAの発現が有意に抑制されたが、IFNγの発現に関しては差を認めなかった。PAI-1欠損マウスのtPA発現量自体は偽手術を行ったものとBDLを行ったもので差を認めなかった。今回の実験結果をまとめると、BDL後3週間の時点で、野生型マウスでは肝線維化が起こったが、PAI-1欠損マウスは肝線維化が抑制された。この時PAI-1欠損マウスはtPAの発現が増加する事なく線維化が抑制され、IFNγの関与は少ないという事がわかった。そのメカニズムに関してはさらなる解析が必要である。