研究課題
左室容量負荷の増大をきたす僧帽弁機能不全の外科的治療として弁形成や腱索再建が行われるが、残された乳頭筋を含む心筋収縮拡張機能の影響はきわめて大きい。本研究では、微細形状記憶合金線維を応用し、心筋収縮に同期し収縮拡張が可能な人工乳頭筋を開発する。これは僧帽弁閉鎖時に乳頭筋にかかる約10Nの力学的負荷に対して必要な時にリアクティブに収縮制御し、心収縮時の弁尖位置の調節を機能的に補助するもので、形態学的修復に機能的補助を付加する新しいシステムである。開発に挑戦する装置は、超小型のマイクロマシン化した機械式アクチュエータを用いて、人工心筋の制御技術を基盤として僧帽弁機能を補助するシステムである。僧帽弁機能不全をともなう心不全では、僧帽弁と乳頭筋の形態学的位置関係が心機能において重要である。左心房-左心室の相互作用に着目して、動物実験組織摘出ハイブリッドモデルの設計基礎検討を行った。健常成山羊の摘出心臓壁の心筋層構造を解剖生理学的に検討したうえで、心筋走行と心筋収縮挙動・乳頭筋収縮の力学的影響を心エコーから調べ、乳頭筋-心室壁間の変位・張力を力学的に補償する形状記憶合金線維をアクチュエータとした人工乳頭筋システムの試作改良を進めた。さらに、開発した人工乳頭筋システムをシリコーン製左心室モデル心尖部から挿入固定し、健常成山羊の左心室血液拍出機能を模擬した拍動アクチュエータにおいて心室壁収縮拡張に伴う僧帽弁開閉と心室内容積変化を開発した乳頭筋システムで支持された摘出心基部僧帽弁モデルによる心臓拍動シミュレータにおいて検討した。開発した形状記憶合金線維応用型乳頭筋システムの張力変位補償により生体心基部構造-人工乳頭筋ハイブリッド心臓モデルの拍出は健常成山羊の心拍出機能を高度に模擬することができ、人工乳頭筋デバイス機能の基本設計手法が具現化でき、新たな心室補助装置開発の基盤技術が構築された。
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