研究課題/領域番号 |
23659666
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊達 洋至 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60252962)
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研究分担者 |
黄 政龍 公益財団法人田附興風会, 呼吸器外科, 研究員 (10271511)
園部 誠 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00432378)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | FGFR / sh RNA / アデノウィルス / ベクター / 遺伝子治療 |
研究概要 |
これまで我々は肺癌の治療に有効と思われる癌関連分子を同定しながら,それらをターゲットとした癌遺伝子治療の基礎的研究を行ってきた.その中で最近我々は,肺扁平上皮癌においてfibroblast growth factor receptor (FGFR)の腫瘍内過剰発現が特異的にみられ,腫瘍のプログレッションを促進することをみいだした.そこで本研究で我々は肺扁平上皮癌に対する新しい治療として,FGFR抑制ベクターによる癌遺伝子治療の研究を行う.本研究計画において,まず我々は非小細胞肺癌におけるFGFR familyの発現に関する包括的な臨床的解析を行った.FGFR family遺伝子の全4種類(FGFR1, FGFR2, FGFR3, FGFR4)について,その遺伝子発現量をreal-time RT-PCRで定量した.その結果,FGFR1の遺伝子発現はEGFR遺伝子とKras遺伝子がともに野生型である肺癌で有意に高かった.また,FGFR2の遺伝子発現もEGFR遺伝子とKras遺伝子がともに野生型である肺癌で有意に高かった.更にFGFR2は,腺癌と比べて扁平上皮癌で有意に遺伝子発現量が高かった(投稿中).この結果は,免疫組織学法による蛋白発現でも同様な所見がえられた.一方,FGFR3とFGFR4の遺伝子発現量は,FGFR1とFGFR2に比べて低いものであった.そのため,我々はFGFR1だけでなくFGFR2も肺癌(特に扁平上皮癌)における治療ターゲットになりうると考えている.現在FGFR2発現抑制ベクターを既にアデノウィルスベクターで作製済みである.今後 in vitro及び in vivoの遺伝子治療実験を行ってゆく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の第一段階であるFGFR発現に関する包括的臨床解析はほぼ終了している.現在,FGFR2発現抑制アデノウィルスベクターも既に作製済みである.
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今後の研究の推進方策 |
FGFR発現抑制ベクターを用いて,FGFR過剰発現肺癌に対してin vitro及びin vivoの遺伝子治療実験を精力的に行ってゆく.担癌モデルの作製:ヌードマウスに,ヒト癌細胞株または外科的切除腫瘍組織を移植、ベクター投与法としては,まず腫瘍内への直接注入法を,次に気道内吸入法を検討
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次年度の研究費の使用計画 |
発現抑制ベクターの大量培養と精製,遺伝子発現定量のためのreal-time PCR,蛋白発現定量のためのWestern Blotと免疫組織化学法,抗腫瘍細胞効果定量のためのMTTアッセイ,フローサイトメーターのための蛍光免疫染色,培養癌細胞株の維持などにも必要な薬品を購入する予定である。
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