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2011 年度 実施状況報告書

新たなヒト体性多能性幹細胞(Muse細胞)を用いた心筋再生治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23659667
研究機関大阪大学

研究代表者

寒川 延子  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (30432579)

研究分担者 澤 芳樹  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00243220)
宮川 繁  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70544237)
西 宏之  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00529208)
吉川 泰司  大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (40570594)
井手 春樹  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90600122)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード再生医学 / 幹細胞 / Muse細胞 / SSEA3
研究概要

本研究は、Muse細胞がES細胞やiPS細胞が抱える問題を克服できうるような再生医療に適した細胞源となり得るかどうかを検討し、その有用性を分子レベル、細胞レベル、組織レベルで評価することにより、Muse細胞を用いた心疾患に対する新たな再生治療法確立を目的とする。 平成23年度は、Muse細胞の表面マーカーであるSSEA3を指標に、培養正常ヒト皮膚線維芽細胞、培養ヒト骨髄由来間葉系細胞、ヒト筋芽細胞に含まれるMuse細胞のFACS sorterによる分収を試みた。その結果、培養正常ヒト皮膚線維芽細胞では1~4%程度のSSEA3陽性細胞を採取し得たが、継代とともにSSEA3陽性率は減少し、12継代以降はSSEA3陽性細胞は殆ど消失した。一方、培養ヒト骨髄由来間葉系細胞や筋芽細胞のSSEA3陽性細胞は極めて少なく、その採取は困難であった。続いて、Muse細胞の未分化維持、心筋分化誘導に適した培養基質を探索することを目的とし、細胞表面の接着分子であるインテグリンの発現を検討した。しかし、SSEA3陽性細胞とSSEA3陰性細胞間でインテグリン発現に有意な差は認められなかった。そこで、ヒト線維芽細胞由来SSEA3陽性細胞とSSEA3陰性細胞、およびiPS細胞よりmRNAを採取し、マイクロアレイにより遺伝子発現プロフィールを網羅的に比較検討した。その結果、細胞増殖、細胞周期、細胞分化に関わる遺伝子群の発現にSSEA3陽性細胞特異的な遺伝子発現パターンが存在することが明らかとなった。 平成24年度は、上記の研究結果を基に、Muse細胞の心筋細胞への分化誘導に適した培養法を検討するとともに、心筋細胞分化誘導に関わるMuse細胞表面レセプターを探索し、そのシグナル伝達系を刺激することによりMuse細胞から心筋細胞への高効率分化誘導法を確立し、将来の新たな心筋再生医療開発につなげる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

探索した中で最も高率にSSEA3陽性細胞を含んでいるヒト皮膚線維芽細胞を用いても、SSEA3陽性細胞の回収数は現時点では少なく、病態モデル動物へ移植するには不十分であった。そのため動物を用いたin vivoでの検討(Muse細胞の心臓への生着、心筋への分化、移植細胞の効果)が進んでいない。

今後の研究の推進方策

今後は、Muse細胞(SSEA3陽性細胞)とiPS細胞の増殖能や分化能、造腫瘍能の違いやその制御法を探索することを目標に、マイクロアレイのデータを基にして、遺伝子導入や遺伝子抑制等の方法を用いて、in vitroでの実験を中心に進めて行く。具体的には、Muse細胞とiPS細胞を比較しながら、(1)マイクロアレイのデータを基に、RT-PCR、ウェスタンブロッティング法を用いて、増殖、分化、癌化あるいは細胞周期に関わる遺伝子、分子の発現など幅広く検討する。(2)マイクロアレイおよび(1)の結果を基に増殖、分化、癌化あるいは細胞周期に関わる分子を中心に、シグナル伝達系の制御について検討を行う。(3)これまでのMuse細胞とiPS細胞の比較解析から得られたiPS細胞の腫瘍化に関わる候補遺伝子をiPS細胞に導入し、iPS細胞の腫瘍化の抑制に作用するのかどうかについて検討を行う。  また、マイクロアレイや細胞表面発現接着分子の結果を基に、Muse細胞(SSEA3陽性細胞)を維持・増殖できる培養法の検討を進め、病態モデル動物に移植可能な細胞数を得ることができれば、in vivoでの検討も行う。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度に引き続き、Muse細胞の分離・培養を行うとともに、iPS細胞の作成および維持・培養を行う。 平成24年度における中心的な研究の推進方策は、Muse細胞とiPS細胞を比較しながら、増殖能や分化能、造腫瘍能の違いやその制御法を探索するin vitroでの実験である。具体的には、RT-PCRやウェスタンブロッティング法等を用いての増殖、分化、癌化あるいは細胞周期に関わる遺伝子、分子の発現検討、および、シグナル伝達系の制御についての検討と、Muse細胞とiPS細胞の比較解析から得られたiPS細胞の腫瘍化に関わる候補遺伝子をiPS細胞に導入し、iPS細胞の腫瘍化の抑制に作用するのかどうかについて検討である。次年度の研究費は、これらの実験を進めるために必要な培地・試薬(抗体等を含む)・ 消耗品等に主に充てる。また、一部は本研究の成果発表のための旅費に充てる。

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公開日: 2013-07-10  

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