研究課題/領域番号 |
23659669
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西 宏之 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00529208)
|
研究分担者 |
澤 芳樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00243220)
倉谷 徹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90448035)
宮川 繁 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70544237)
吉川 泰司 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (40570594)
福嶌 五月 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80596867)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | iPS細胞 / 心筋細胞シート / 心筋梗塞 / 心不全 |
研究概要 |
iPS細胞由来心筋細胞シートを作成し、ヌードラット心筋梗塞モデルに移植し、経時的な電気生理学的検討、心機能の推移を観察した。iPS細胞由来心筋細胞シートと新生仔心筋細胞シートは移植後3日にて、電気生理活性の認められなかった梗塞巣に、生理活性が観察されるようになり、その同時期に、心機能が改善した。iPS細胞由来心筋細胞シートはラット梗塞心に生着し、in vivoにおいて同細胞はサルコメア構造を有しており、デスモゾームを介して細胞同士が接着し、生着しているのが観察された。また、マウスiPS細胞をin vitroで心筋細胞に分化誘導し、これを細胞シート化して慢性梗塞ヌードラットの梗塞領域に移植した。移植後2週間目の個体をSpring8に搬入し、移植したiPS細胞由来心筋細胞シートにビームを照射し、actin/myosinの構造体の有無、in vivoにてactin/myosinが重合し、iPS由来心筋細胞がin vivoで機能しているか観察した。また、negative controlとして心筋シートを移植していないSham梗塞ラットを使用した。iPS由来心筋細胞シート移植群では、全ての個体でteratomaの形成を認めたが、BL40XUにおけるdiffraction解析では、このteratomaと梗塞部位の境界領域に心筋回折像が確認できた。一方、Sham群の梗塞部位への照射では回折像は得られなかった。照射実験後に採取した標本の免疫組織染色では、teratomaの部位は全てiPS細胞由来のDSred陽性であり、心筋回折像が確認できた部位に一致して、心筋骨格蛋白の発現および横紋構造を示す細胞群の存在が確認された。これらの結果より、得られた心筋回折像は宿主心筋由来では無く、移植されたiPS細胞由来であると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
iPS細胞由来心筋細胞シートが作成可能であり、当初より仮説としていたレシピエント心との電気的統合を証明できた。
|
今後の研究の推進方策 |
iPS細胞由来心筋細胞シートとレシピエント心の電気的、機能的結合を、様々な手法で証明しつつあるが、これをより確かなものとするために、同様の実験を繰り返して実証する。さらに、そのメカニズムの解明を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
実験動物ならびに試薬の購入、研究成果の発表に使用することを考えている。
|