研究課題
ヒトiPS細胞を培養し、新開発した方法で心筋細胞への分化を誘導したところ90%程度の細胞が自己拍動し心筋細胞に特異的な表面抗原を発現した。iPS細胞由来心筋細胞より温度感応性培養皿を用い細胞シートを作成しヌードラット心筋梗塞モデルに移植、経時的な電気生理学的検討心機能の推移を観察。iPS細胞由来心筋細胞シートと新生仔心筋細胞シートは移植後3日、電気生理活性の認められなかった梗塞巣に生理活性が観察されるようになり同時期に心機能が改善。比較群として線維芽細胞シート、筋芽細胞シートを同ラットに移植したが、レシピエント心との電気的統合は起こらず心筋細胞シートと比較して心機能改善率も低値だった。iPS細胞由来心筋細胞シートはラット梗塞心に生着しin vivoにおいて同細胞はサルコメア構造を有しておりデスモゾームを介し細胞同士が接着し生着が観察された。同様に、マウスiPS由来心筋細胞シートを慢性梗塞ヌードラット梗塞領域に移植した。移植後2週間目の個体を移植したiPS細胞由来心筋細胞シートに放射光を照射し、actin/myosinの構造体の有無、in vivoにてactin/myosinが重合し、iPS由来心筋細胞がin vivoで機能しているか観察したiPS由来心筋細胞シート移植群では全ての個体でteratomaの形成を認めたが、BL40XUにおけるdiffraction解析ではこのteratomaと梗塞部位の境界領域に心筋回折像が確認できた。標本の免疫組織染色では、teratomaの部位は全てiPS細胞由来で、心筋回折像確認部位に一致して心筋骨格蛋白の発現および横紋構造を示す細胞群の存在が確認された。結果、得られた心筋回折像は移植されたiPS細胞由来であることが証明された。以上より、iPS由来心筋細胞は梗塞心筋への移植後自己拍動を続けこれが心機能の向上に寄与していることが示唆された。
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