研究分担者 |
澤 芳樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00243220)
倉谷 徹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座教授 (90448035)
坂口 太一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (10467574)
白川 幸俊 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (20457013)
島村 和男 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10507205)
金 啓和 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (70532985)
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研究概要 |
本研究の目的は大動脈瘤のmiRNAの発現を解析し大動脈瘤における各種miRNAの作用を解明することであるが、まず腹部大動脈瘤壁組織からmiRNAを網羅的に抽出し正常大動脈壁に発現しているmiRNAと比較検討した結果、腹部大動脈瘤において炎症をコントロールするmiR-146 miR-126等のmiRNA,血管内皮のproliferationを制御するmiR-221, 222等のmiRNA, fibrosisを制御するmiR-29のmiRNAの発現量は正常大動脈壁と比較し有意に上昇していた。またその特異的に発現するmiRNAと瘤壁に発現する炎症性サイトカインとの間に有意な相関関係を認めた。その結果を踏まえtarget miRNAを決定し腹部大動脈瘤患者の血漿中において上記に決定したtarget miRNAの発現をreal time PCR法を用いて解析した。結果腹部大動脈瘤患者の血中のmiRNA発現パターンは正常患者と比較して大きく相違していた。特に大動脈瘤患者の血中において炎症をコントロールするmiR-124a, miR-155,miR-223のmiRNA, fibrosisを制御するmiR-29bのmiRNAの発現量は有意に低下していた。大動脈瘤では初期病変から進行病変まで異なる病期の病態が一つの瘤の中に混在しており様々な病態に有効な治療剤が開発できれば理想的だが病態に応じ有効な治療法を使い分ける方が現実的である。それぞれの薬剤がどの病態に有効か非侵襲的に診断できるようになれば有効性の高い治療法を選択することが可能になる。このように病態バイオマーカー診断に基づき治療剤の種類、時期と期間、投与量等を調整する個別化治療こそ新しい動脈瘤治療であると考える。今回の結果を踏まえmiRNAが大動脈瘤疾患のあらたなる病態バイオマーカーとなりうる可能性があることが判明した意義は高いと考える
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