研究課題/領域番号 |
23659675
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
島田 順一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60315942)
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キーワード | エネルギーデバイス / 補強素材 / 血管切離 |
研究概要 |
エネルギーデバイスは凝固と切開を同時に行うことが可能であり外科手術で普及してきた。そこでエネルギーデバイスで血管を切離する際に補強素材を使用することで切離能力の向上を図ることで、より安全な手技を目的として行ってきた。その概要は組織補強素材としてポリグルコール酸シート(ネオベール®)、酸化セルロース貼付剤(サージセルニューニット®)、シート状生物学的組織接着・閉鎖剤(タココンブ®)、コラーゲン使用吸収性局所止血材(インテグラン®)などを使用し、対照群として何も使用しないで切離を行った。切離対象は豚の血管(頸動静脈)で実験を行い、切離時間、断端の耐圧性、断端の癒合距離で評価を行った。その結果、補強素材によっては耐圧性に関して有意差は見られないものの上昇傾向を示し切離時間においては有意に短縮がみられた。また断端の癒合距離には影響しないことが確認できた。このことからも適切な補強素材を選択・使用することによって、より速く、癒合能力を落とさずに血管切離できる可能性が示唆される結果となった。また豚を用いた大動物実験でも血管切離の際に補強素材を使用することで同様の結果を確認した。 本研究によりエネルギーデバイスによる血管切離での補強素材の有用性が示唆された。取り分け切開力の向上が確認できた。また使用した補強素材により切開・凝固への影響に差がみられたことから、素材の選択あるいは新素材の開発により更なる改善も期待される。現在細胞膜構成成分に注目しリン脂質であるレシチンの付加などの追加実験を行っている。、最終的には安全・確実な医療に寄与するものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
エネルギーデバイスでの組織切離での補強素材の有用性を検証している。現時点で豚頸動脈を使用したin vitroでの実験と大動物(豚)実験まで終了することができた。ただし実験において組織レベルでの切離断端の変化を観察するためにHE標本の作製を行った。しかし補強素材が熱変性により硬化するため組織との硬度差を生じ薄切に難渋し標本作製が遅れた。現在、この問題を解決し事業を遂行している。また補強素材に関連して新規の形態や材料のものが確認されたため、それらを加え追加実験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
新たな補強素材の検討と小動物(ラット)実験を行い長期成績を検証を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
組織作成で遅れと追加実験により研究費の使用延長申請を行った。 次年度に追加素材の検証と小動物実験を行い長期成績を検証するとともに、これまでの研究内容・成果を学会や論文で発表していく予定である。
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