研究課題
本研究の目的は外傷性脳損傷(traumatic brain injury: TBI)を中心とした脳神経疾患の病態把握と治療方針決定において重要な情報である頭蓋内圧(intracranial pressure: ICP)、頭蓋内コンプライアンス、脳自動調節能に関する非侵襲的モニタリング法の開発である。現在ICPセンサーは脳実質、(脳室内)に留置するため、侵襲的であり、適応が重症TBIに限られる一因となっている。頭蓋内コンプライアンス、あるいは自動調節能に関する情報の重要性は誰もが認めるところであり、30年以上開発が試みられてきたが、日常臨床で使用可能なモニタリングは開発されていない。本研究では、核磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging: MRI)の新しい応用の一つで、生体の硬さ情報を画像化するMR elastography(MRE)を用いて前述の3つの情報の非侵襲的な画像モニタリングの開発に向けた基礎的知見を得ることを目的とする。脳損傷モデルのプロファイルに関しては、任意の衝撃波を照射後の頭蓋内伝播に関する工学的検討を行った。生体を模擬した多層媒体モデル(ゼラチン(脳)、水(髄液)、アクリル(頭蓋骨)、空気)の伝播動態を衝撃解析ソフトウエアANSYS AUTODYNによる数値解析を行った。脳損傷の範囲に関する組織学的検討、乾燥重量法による浮腫の検討は基礎データが得られた。現在、自動調節能を動物実験で測定する準備を進めている。MRE本体の開発に関しては、研究分担者の鷲尾が開発を進め、撮像条件設定、外部振動条件に関して知見が得られ、H23年度は産総研において動物実験での検討を行った。概ねラットでの撮像を行える画質となった。H24年6月より東北大学においても動物実験において撮影を開始する予定である。
2: おおむね順調に進展している
外傷性脳損傷のプロファイル検討については、blast injuryモデルでデータが得られた。自動調節能の測定は現在進行中である。正常動物におけるMRE撮像に関しては、撮像条件設定、外部振動条件設定に関して知見が得られた。現在、力学情報-圧変換アルゴリズムを開発中である。
平成24年度は、外傷性脳損傷のプロファイルに関して、頭蓋内圧モニタリング下に自動調節能の測定を継続する。東北大学において正常動物のMRE撮像を行い、続いて、外傷性脳損傷モデルにおけるMRE撮像を開始する。現在の体制で特に研究の遂行に関して支障はないものと考えている。
なし
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