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2012 年度 実施状況報告書

がん細胞エネルギー代謝研究とグリオーマ幹細胞研究の融合による新たな研究領域の創成

研究課題

研究課題/領域番号 23659682
研究機関山形大学

研究代表者

北中 千史  山形大学, 医学部, 教授 (70260320)

キーワードglioma-initiating cell
研究概要

我々はWarburg効果がミトコンドリア依存的細胞自殺の抑制を通じてがん細胞に生存アドバンテージを与えていること、逆にWarburg効果の解除によりがん細胞の細胞死( 治療)抵抗性を克服できる可能性を世界に先駆けて提唱し、さらにはそのような可能性を実証するためグリオーマ細胞のミトコンドリア呼吸を促進できる薬物を探索し、化合物Xを見出した。このような性質をもつ化合物Xを用いて種々の検討を行った結果、化合物Xがin vitroにおいてグリオーマ細胞に対するテモゾロミドの殺細胞効果を増強すること、また化合物Xが示す殺細胞効果増強作用がミトコンドリア呼吸依存的であることが確認された。続いて本課題では「Warburg効果や腫瘍低酸素がグリオーマ幹細胞維持に重要な役割を果たしている」という仮説を検証すべく、化合物Xがグリオーマ細胞の幹細胞性(未分化性)/分化誘導に与える影響につき検討を行った。その結果、幹細胞状態のグリオーマ細胞を化合物Xで処理すると、幹細胞(未分化)マーカーの発現低下と分化マーカーの発現上昇が認められた。これらの結果はグリオーマ細胞における幹細胞状態の維持において、ミトコンドリア呼吸の抑制すなわちWarburg効果や腫瘍低酸素が重要な役割を果たしている可能性を示唆するものである。と同時にこのような結果は化合物XのようにWarburg効果を解除しうる薬剤や腫瘍低酸素の解除がグリオーマ幹細胞の抑制を通じてグリオーマの再発抑制に貢献しうる可能性を示唆するものでもある。そこでこういったこれまでの成果にもとづき化合物Xがグリオーマ幹細胞のもつ腫瘍形成能に与える影響を調べるため、脳腫瘍モデルを用いて検討を行った。その結果、化合物Xがグリオーマ幹細胞の腫瘍形成能を抑制することが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ミトコンドリア呼吸を促進する化合物Xがグリオーマ幹細胞の腫瘍形成能を抑制することを実証することができた。また、その成果を幹細胞領域の一流専門誌に掲載することができた。

今後の研究の推進方策

化合物Xを用いたグリオーマ治療モデルの作成を試みる。

次年度の研究費の使用計画

動物実験を行うためのマウス、腫瘍形成に用いるグリオーマ幹細胞を培養するための培地や増殖因子、プラスチック器具等を購入する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Resveratrol promotes proteasome-dependent degradation of Nanog via p53 activation and induces differentiation of glioma stem cells2013

    • 著者名/発表者名
      Sato A et al.
    • 雑誌名

      Stem Cell Research

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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