当該研究の目標は、医用画像データを用いた融合3次元画像の構築方法の開発工夫と、医用画像と現実空間との融合であったが、概ね予定通り達成した。具体的には、画像処理ソフトウェア(Avizo)上で正規化相互情報量法の初期値を工夫することによって、DICOMデータとして出力した全ての医用画像の自動融合することに成功した。また1つの医用画像を任意の領域に分割し、それらに最適なしきい値を設定するセグメンテーション方法(multimodal individualizing threshold法と命名した)やサーフェスレンダリングとボリュームレンダリングとを重畳表示したハイブリッドレンダリング法を臨床医療ではじめて使用した。これら工夫により、提案手法による融合3次元画像が全ての医用画像を1つのコンピュータグラフィックスとして表示することが可能となり、かつ高精細を有するものとなった。また構築時間の大幅な短縮が達成できた。提案手法による融合3次元画像は、複数の前向き調査でその有効性が示され、東京大学医学部付属病院脳神経外科にて既に467例の臨床症例に応用された。
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