研究課題/領域番号 |
23659685
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森脇 崇 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20591019)
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研究分担者 |
吉峰 俊樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00201046)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 嗅神経鞘細胞 / 細胞外マトリックス / 軸索伸長 / 細胞移動 |
研究概要 |
神経再生において、軸策とグリア系細胞の相互作用は再生軸索の安定性に重要な要因の一つである。嗅神経鞘細胞(olfactory ensheathing cell, OEC)は生涯にわたり嗅神経の再生と中枢への軸索伸長を支持するグリア系細胞で、神経再生治療において有望な移植細胞候補であるが、その遊走性・形態変化・軸策との相互作用の分子機構は明らかではない。本課題はOECの形態・遊走性と軸索との相互作用に寄与する分子機構を明らかにることを目的とし、今年度は以下の実験を行った。 OECは成体ラットの嗅粘膜から採取した。OECはアストロサイト型とシュワン型の形態を可逆的に取ることが知られているが、その変換機構や細胞の性質の差異は不明である。本研究グループのこれまでの実験から、アストロサイト型とシュワン型のOECは、伸長神経軸策との相互作用の様式が異なることが示唆されたが、形態を決める要因は明らかでなはい。本実験では、細胞外基質としてポリ-L -リジン(PLL)、Matrgel,(高濃度および低濃度)、ラミニンを比較した。また可溶性因子としてlysophosphatidic acid (LPA), dibutyril cAMP、Rho kinase阻害剤の効果を検討した。その結果、dibutyril cAMPは短時間でアストロサイト型からシュワン型への形態変化を引き起こすこと、rho kinaseは長時間の形態変化に関与することが示唆された。PLLはMatrigel(高濃度)に比べ、アストロサイト型を誘導する傾向が見出された。また、実験上の副産物として、OEC分離時に混入してくる線維芽細胞の増殖が、ウマ血清を使うことで抑制できることが見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞外マトリックスの評価対象として、完全合成自己集合ペプチドゲルも候補としていたが、震災以後評価対象のゲルの一つが6カ月入荷しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
OECの形態あるいは移動度変化に及ぼす因子を絞り込むことと、その際OECに発現する分子、特に神経と相互作用する分子の変化を定量する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物(ラット)、培養用消耗品(血清を含む)、抗体、PCRに必要な試薬、ELISAキットを計上している。
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