研究課題/領域番号 |
23659690
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
清水 惠司 高知大学, 医療学系, 教授 (70116044)
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研究分担者 |
八幡 俊男 高知大学, 医療学系, 助教 (40380323)
東 洋一郎 高知大学, 医療学系, 助教 (80380062)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 脳腫瘍 / エピジェネティクス / 分化 |
研究概要 |
悪性グリオーマ細胞や組織において、非対称分裂の異常が生じている可能性を検討するために、幹細胞と分化細胞を識別する手技を確立した。悪性腫瘍でも発現することが報告されている幹細胞マーカーNanog遺伝子のプロモーターの下流に蛍光タンパクEGFPを組み込んだベクターを構築し、幹細胞を容易に標識可能にした。これを悪性グリオーマ細胞株に遺伝子導入し、FACSにより蛍光を発する細胞を分離した。このコンストラクトにより幹細胞と分化細胞が識別されているか各種分化細胞マーカーを用いて検証している。また、悪性グリオーマ患者に由来する癌幹細胞を多く含む培養細胞において体性幹細胞マーカーCD133に加えてグリア前駆細胞マーカーであるA2B5を用いてフローサイトメトリーにより幹細胞及び前駆細胞を特定し、薬剤耐性遺伝子がCD133陽性細胞に加えA2B5陽性細胞の一部でも高発現していることを検出した。この幹細胞を多く含む培養では、通常の培養法と比較して抗癌剤によるDNA障害が生じにくいことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
従来の各種表面抗原を指標としたFACSによる幹細胞の分離培養が、細胞数を多く必要とする実験を困難とした。
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今後の研究の推進方策 |
・幹細胞特異的プロモーターによるレポーターコンストラクトを構築したことで、生細胞として幹細胞を迅速に分離する。・非対称分裂に影響を与える因子の探索も分裂様式のライブイメージングにより行う。・感度のよい前駆細胞マーカーA2B5を利用することでより精度の高い分裂様式の解析を実施する。・ウイルスベクターによりマウス神経幹細胞にがん遺伝子を強制発現させ、細胞分裂の対称性と分裂軸に与える影響を検索する。同時に、これらの細胞をマウス脳内に移植し、発がん性と非対称分裂の厳格性についても解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の計画に基づく経費執行について、4月に支払いすべき経費が残っているため、次年度使用額が存在するように見えるが、実際には、全額を執行予定である。そのため、次年度の研究は、当初の計画通り進める予定である。
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