研究課題/領域番号 |
23659692
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐々木 富男 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10134561)
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研究分担者 |
溝口 昌弘 九州大学, 大学病院, 講師 (50380621)
中溝 玲 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80529800)
吉川 雄一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (80423515)
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キーワード | 脳血管障害 / 周皮細胞 / 細胞内シグナル |
研究概要 |
前年度はペリサイトにおけるPDGFRβ発現調節機構について詳細に検討をすすめ、PDGFRβシグナルがペリサイトにおいて多彩な役割を果たしていることを明らかにした。本年度はこれについて動物モデルも用いてより詳細に検討した。なお、PDGFRβシグナルについて当初の予定よりかなり詳細に検討を重ねたため、プロスタグランジンの発現調節機構については検討出来なかった。 ペリサイトにおけるPDGFRβ発現調整機構の解明(細胞実験) 前年度はbFGFがペリサイトのPDGFRβ発現を増加させることを明らかにしたが、本年度はそれについてより詳細に検討した。FGF受容体はFGFR1から4の4つのアイソフォームがあるが、RT-PCRの結果よりペリサイトはFGFR1のみを発現していた。ペリサイトにおけるbFGFを介したPDGFRβの発現上昇はFGFR1阻害剤であるSU5402で阻害され、この反応がペリサイトに発現するFGFR1を介していることを明らかにした。 ペリサイトにおけるPDGFRβ発現調整機構の解明(動物実験) さらに動物モデルにおいてbFGFの発現を検討した。マウス局所脳虚血モデルの虚血半球では対側半球・シャム手術群に比較してbFGF発現量が5倍に増加していた。また免疫染色では特に虚血巣周囲でbFGFの発現が著明に増加していた。そこで蛍光二重染色法によりbFGFを発現する細胞を詳細に検討すると、神経細胞・ペリサイト・血管内皮細胞がbFGFを多く発現していた。 本研究の成果として、脳虚血巣周囲の様々な細胞がbFGFを分泌することによりペリサイトにおけるPDGFRβシグナルが活性化され、それによってペリサイトの増殖・生存・神経栄養因子分泌などの多様な機能が増強されている可能性が示唆された。本研究の成果は脳虚血疾患の新しい治療の開発に繋がる可能性があると考えられる。
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