研究課題
近年、 グリオーマ幹細胞(GIC)が悪性脳腫瘍再発や、薬剤耐性に関わるとされているが、GICの純粋分離法や検出に用いるマーカー分子群はもとより、薬剤耐性等に関わる分子群の情報は非常に限られている。治療標的分子を検索するため、グリオーマ患者組織より分離した微量なGICを用いて分子発現差異解析法であるiTRAQ-8Plex法、2D-DIGE法、およびDNA arrayの融合法の開発を試みた。同一サンプル群を同時に解析し、得られたすべての情報を統合マイニングすることによって、異常に制御されたシグナル伝達経路を特異的に抽出する方法論(iPEACH法)を確立し、候補分子群を培養細胞と動物移植モデルによる検証実験に供した。定量可能な全同定データ(8,471タンパク質、21,857 mRNA)を融合し、GICの分化誘導における発現変動分子群(上昇662個、減少326個)から、GO解析およびnetwork解析したところ、GICは幹細胞マーカーCD133、nestin、Sox2の分化誘導時の発現減少、及びGFAP、Tuj1、CD44・vimentin、及び活性化EGFR-RAS-MAPKとPI3K-AKT-mTOR系路の発現を誘導し、神経幹細胞様の性質とグリオーマ細胞への分化能を有することを明らかにした。さらに、分化に連動してintegrin familyとそのリガンドESMタンパク質群の顕著な発現による分化ニッチ形成がGICの増殖と分化誘導に関わり、これらの阻害剤が有意に分化を抑制することを見出した。GICのマウス頭蓋内移植による悪性グリオーマ発症モデルにおいて、この阻害剤は抗癌剤の感受性を高め、マウスの生存率を上昇させた。以上のことから、これらの一連の解析システムによって得られた結果は、GICの新規分化調節治療ターゲット候補分子群の検出・同定に有用であることが示唆された。
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