研究課題/領域番号 |
23659697
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
寺本 明 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50133070)
|
研究分担者 |
吉田 大蔵 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30210701)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 成長ホルモン / 下垂体腺腫 / miRNA / mRNA |
研究概要 |
<諸言> micro-RNA(miRNA)とは、細胞内に存在する長さ20から25塩基ほどの1本鎖RNAをいい、non-coding RNA(ncRNA)の一種である。最近様々な遺伝子発現の調節機能について報告があるが、下垂体腺腫におけるホルモン関連遺伝子に関しては未だ少ない。今回我々は下垂体腺腫細胞におけるGHとPRL発現に関与するmiRNAのsignal cascadeを検討した。<方法> 下垂体腺腫細胞GH3とrat normal pituitary cell(RPC)のmRNAとmiRNAの発現プロファイリングをcDNA microarrayで解析し、有意に負の相関のあるものの中から、GH産生に関与する遺伝子を選択した。それらのmiRNAの3'側非翻訳領域に相補的な塩基配列を構築してGH3細胞のmiRNAをノックダウンし、GH、PRL分泌変化をELISAで定量し、同時にシグナル下流域をcDNA microarrayで解析した。<結果> RPCよりもGH3で過剰発現していたmiRNAのうち、GH産生に関してrno-miR-494と-146aが発現増加をしてmRNAと負の相関をしていた。それらのmiRNAをノックダウンしたGH3細胞にのみにGH分泌が有意に増加した。cDNA microarrayでもGH産生に関するシグナルは有意にup-regulateしていた。さらにシグナルの下流にPit-1遺伝子があることを突き止めた。<結論>GH3ではRPCに比して種々のmiRNAの発現変化がみられるが、このうちrno-miR-494と-146aはPRL発現を抑制する機能を有していると思われた。さらにはGH産生細胞への分化を制御するPit-1を制御していた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の遂行中に 従来報告のなかった下垂体腫瘍の成長にかかわるシグナルとmiRNAによる制御が明らかになった。
|
今後の研究の推進方策 |
今回新たに発見された細胞内シグナルカスケードは将来的な分子標的療法の候補になる可能性を秘めているので さらに研究を進める方針で臨む
|
次年度の研究費の使用計画 |
下垂体ホルモン分泌とmiRNAのかかわりについて研究したが 次年度は内分泌学といった領域にとどまらず、腫瘍の成長や浸潤の根幹を制御するmiRNAの発見といった方向に転じていく
|