研究概要 |
<諸言> 今回我々は下垂体腺腫細胞におけるGH発現に関与するmiRNAのsignal cascadeを検討した。 <方法> 下垂体腺腫細胞GH3と正常ラット下垂体の遺伝子発現プロファイリングをを解析し、有意に負の相関のあるものの中から、GH産生に関与する遺伝子を選択した。それらの3'側非翻訳領域に相補的な塩基配列を構築してメッセンジャーをノックダウンし、GH分泌変化をELISAで定量し、同時にシグナル下流域をマイクロアレイで解析した。 <結果> GH3で過剰発現していたマクロRNAのうちGHに関しては、rno-miR-101bと-191, -194の発現過剰がみられた。GH産生はmiR-101bのノックダウンしたGH3細胞にのみにPRL分泌が有意に増加した。cDNA microarrayでもPRL産生に関するシグナルは有意に増加していた。さらに今年度は101bをGH3細胞に強制発現させたらGHは発現が低下していた。さらに180例の下垂体腺腫の手術サンプルではを行い発現量を検討したが、GH産生腫瘍に特異的に発現抑制をみた。この事実は我々が行ったGH産生に関する101bのGH産生に果たす役割を示唆していた。 <結論>GH3では正常下垂体に比して種々のマイクロRNAの発現変化がみられるが、このうち101はGH発現を抑制する機能を有していると思われた。このマイクロRNAに対する分子標的療法は将来のGH産生腫瘍に対する治療法として可能性が高いと思われた。
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