研究課題/領域番号 |
23659699
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
古川 美子 松山大学, 薬学部, 教授 (20219108)
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研究分担者 |
中島 光業 松山大学, 薬学部, 准教授 (70311404)
奥山 聡 松山大学, 薬学部, 助教 (40550380)
吉田 隆志 松山大学, 薬学部, 教授 (20025696)
天倉 吉章 松山大学, 薬学部, 准教授 (50321857)
古川 昭栄 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90159129)
福光 秀文 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (00308280)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ヘプタメトキシフラボン / オーラプテン / Neuro2a細胞 / PC12細胞 / 脊髄損傷モデル動物 / 脳虚血モデルマウス |
研究概要 |
応募者らは、これまでに柑橘由来化合物についてERK1/2活性化を指標とするin vitroスクリーニングを実施した結果、複数の候補化合物を見出した。柑橘由来化合物の多くは脂溶性で中枢神経系に移行しやすいこと、複素環式化合物で側鎖が多く誘導体を合成して医薬品とするのが容易であることから、本研究は、脊髄損傷治療薬開発をめざし、柑橘由来化合物の中で軸索再生作用を有する化合物を探すことを目的とするものである。平成23年度は、培養神経細胞を用いて候補化合物であるポリメトキシフラボン化合物(PMF)のヘプタメトキシフラボン(HMF)およびクマリン系化合物のオーラプテン(AUR)のin vitroの作用を解明するとともに、脳を用いてin vivoの作用を解明した。その結果、(1)HMFは神経芽細胞Neuro2a細胞の突起を伸展する作用をもつ(すなわち分化誘導作用がある)こと、その作用はポリメトキシ基の数に依存しないこと、(2)脳虚血モデルマウスにHMFを投与するとBDNF産生が誘導され、脳虚血および虚血後の再灌流により誘発される神経細胞死が抑制されること、(3)AURは副腎髄質細胞PC12細胞の突起を伸展する作用をもつこと、(4)脳虚血および虚血後の再灌流により誘発される炎症がAUR投与により抑制される(すなわち遅発性細胞死を抑制できる可能性のある)こと、などを見出すことができた。脊髄損傷時に認められる病変(すなわち過酸化物や炎症反応による神経細胞死)は、損傷脊髄でも認められる病変であり、AURとHMFを脊髄損傷モデル動物に投与した場合にも、同様の効果が期待できる。平成24年度は、これらの化合物を脊髄損傷モデル動物に投与し、その効果を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度は、脊髄損傷モデル動物を用いた実験を進めることができなかった。脳虚血モデルマウスの解析が手間取ったためであり、今後は早急に脊髄損傷モデル動物を用いた解析に取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
脳虚血モデルマウスを用いた解析で投与法・投与量などを決めることができたので、これをもとに脊髄損傷モデル動物を用いた解析に移る予定である。1) 脊髄損傷マウスに柑橘由来化合物を投与して運動機能や知覚伝導機能に及ぼす影響を実証し、2) 軸索再生を実証する。3) マウスの脊髄や坐骨神経より培養した細胞あるいは損傷組織を用いて作用機序を解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は脊髄損傷モデル動物を用いた解析ができなかったので経費を次年度に繰り越し、主に脊髄損傷モデル動物を用いた解析に用いる予定である。
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