研究課題
応募者らは、これまでに柑橘由来化合物についてERK1/2活性化を指標とするin vitroスクリーニングを実施した結果、複数の候補化合物を見出した。柑橘由来化合物の多くは脂溶性で中枢神経系に移行しやすいこと、複素環式化合物で側鎖が多く誘導体を合成して医薬品とするのが容易であることから、本研究は、脊髄損傷治療薬開発をめざし、柑橘由来化合物の中で軸索再生作用を有する化合物を探すことを目的とするものである。平成23年度は、培養神経細胞を用いて候補化合物であるポリメトキシフラボン化合物(PMF)のヘプタメトキシフラボン(HMF)およびクマリン系化合物のオーラプテン(AUR)のin vitroの作用を解明するとともに、脳を用いてin vivoの作用を解明した。平成24年度は脊髄損傷モデルマウスを作製し、HMFが損傷脊髄に及ぼす治癒効果を検討した。脊髄損傷モデル動物はマウス(C57BL/6, 9週齢♂)を用いて作製した。麻酔下、脊部を正中切開し,傍脊柱筋を鈍的に剥離、第10胸堆の堆弓を切除後,同部位にて鋭利な刃物で全脊髄を切断した。切断1日後に対象の後足麻痺を確認できた個体を実験に用いた。HMF はオレンジオイルより調製した。HMFは3週間にわたって毎日腹腔内投与した。運動機能は、1週間ごとにBBBスコア(実験動物の後肢の運動機能を評価するシステム。オープンフィールドでの動物の動きを複数の観察者が目視で観察し、その機能を0[完全麻痺]~21[正常]の21段階で測定、記録し評価するもの。)を測定することで評価した。3週間後に切断部周辺の組織を摘出し、組織化学的解析に供した。その結果、①BBBスコアにわずかではあるが改善作用が認められた;②組織化学的解析は現在進行中である。
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