研究課題/領域番号 |
23659704
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
齋藤 琢 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (30456107)
|
研究分担者 |
緒方 直史 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10361495)
森崎 裕 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30508099)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 幹細胞 / 軟骨細胞 / 再生医療 |
研究概要 |
事前に樹立していたCol2a1-GFPトランスジェニックマウスの胎児線維芽細胞由来のiPS細胞の中から複数のESマーカーの発現を検証し、最もES細胞に近いクローンを2つ選別した。これらについてテラトーマ形成能を検討したところ、いずれも良好な三胚葉分化を示し、高品質のiPS細胞であることが確認できた。このうち一つの株に間葉系細胞のマーカーPrx1のプロモーターにDsREDExpress2を接合したレポーターカセットをレトロウイルスベクターを用いて導入し、間葉系分化時に赤色、軟骨分化時に緑色の蛍光を発するクローンを得た。レチノイン酸を用いた1週間の平面培養での分化誘導で蛍光顕微鏡にて赤色蛍光を確認し、さらにインスリン、BMP-2の添加にて2週間後に緑色の蛍光を確認することができた。この株に対してレトロウイルスベースの間葉系幹細胞由来、成長板軟骨細胞由来のcDNA発現ライブラリーを感染させ、薬剤セレクションをかけながらフィーダーフリーで培養増幅を続けたところ、赤色を発するクローンを3つ得ることができたが、緑色を発するクローンを得ることはできなかった。この赤色発光クローンについてはトランスジーンをシークエンスし、含まれる配列を調べたところ全てノンコーディングシークエンスでありmicroRNAと考えられるような配列も含まれなかった。現在はウイルスの力価を上げて再度感染を行い、新たにクローンを複数得た段階である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
比較的早い段階で二段階蛍光レポーターiPS細胞を樹立することができ、品質的にも上質であることが確認できた。遺伝子発現ライブラリーを用いたスクリーニングでは有望な遺伝子は得られていないが、クローンを得るまでの系は安定してきた。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き複数の遺伝子発現ライブラリーを用いた遺伝子スクリーニングを行うとともに、レチノイン酸など古典的な手法で間葉系に分化させた細胞集団を用いて軟骨分化段階に特化したスクリーニングも行っていく。また低分子化合物ライブラリーを用いたスクリーニングも行う。さらに得られた遺伝子や化合物の有効な組み合わせについても検証し、実際に分化させた細胞をマウス膝関節内に移植する実験も行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養に用いる消耗品類、RNA、DNAの精製キット、シークエンスの試薬などを中心に100万円強の使用を予定している。またマウス移植実験を行うため、マウスの購入、組織切片作成、組織染色の費用として30万円前後を想定している。
|