軟骨細胞の蛍光インジケーターマウスである Col2a1-GFP トランスジェニックマウスの胎児から線維芽細胞を採取し、山中4因子を導入してCol2a1-GFP-iPS細胞を50クローンほど樹立した。それらのESマーカー遺伝子の発現を調べ、ES細胞とほぼ同程度の発現を示すクローンを絞りこむとともに、トランスジーンが良好にサイレンシングされていることを検証し、もっとも良好と思われる2クローンを選定した。これらの多分化能を確認するために、テラトーマ形成実験を行い、in vivoでの三胚葉分化を確認した。またこれらの細胞をBMP-2やインスリンなど、既知の軟骨誘導性のサイトカインによって分化誘導させ、蛍光発色が良好でかつ2型コラーゲンの発現増加と比例することを確認した。さらに未分化間葉系マーカーであるPrx1プロモーターに赤色蛍光DsREDのcDNAを接合したレポータートランスジーンをレトロウイルスベクター化し、樹立したCol2a1-GFP-iPS細胞にPrx1-DsREDのトランスジーンを安定導入し、間葉系分化時に赤色、軟骨分化時に緑色に発色するレポーターiPS細胞を樹立した。レチノイン酸などによる初期分化誘導を行い、赤色陽性緑色陰性のフェーズを確認し、それぞれのレポーターが独立して適切に作動することを確認した。 これら蛍光レポーターを指標として、レトロウイルスベースの発現ライブラリーを用いた発現クローニングを行い、得た陽性クローンから責任遺伝子を抽出し、現在それらの機能を解析している。
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