研究課題/領域番号 |
23659707
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 栄 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50282661)
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研究分担者 |
門野 夕峰 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70401065)
安井 哲郎 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30583108)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / 微小管 / Akt |
研究概要 |
破骨細胞の骨吸収において細胞骨格制御が重要な役割を果たしている。本研究において申請者らは破骨細胞の細胞骨格、とくに微小管の制御におけるphosphatidylinositol 3 kinase-Aktシグナルの役割を検討した。破骨細胞をAkt inhibitorで処理すると、微小管の分解が生じるとともにアクチンリング形成が抑制された。このとき破骨細胞による骨吸収能は著しく抑制された。微小管の破壊とともに破骨細胞の核が中心部に集まるという現象も観察された。これは微小管の細胞膜へのanchoringが障害されているために、核の細胞膜へのけん引力が失われたためと考えられた。次に破骨細胞を微小管の重合を抑制するnocodazoleで処理したところ、一時的な微小管の破壊が観察された。微小管の破壊は継時的に回復したが、Akt阻害薬の存在下ではその回復は遅延していた。以上の結果から、破骨細胞における微小管の細胞膜へのanchoringにはAktシグナルが重要な役割を果たすことが明らかになった。微小管の細胞膜へのanchoringを制御する分子としていくつかのanchoring分子の存在が知られている。このうちEB1の微小管への結合がAkt inhibitorの存在下では減弱していることが明らかになった。すなわちAktシグナルはEB1分子の発現制御を介して破骨細胞における微小管の細胞膜への結合を制御している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
破骨細胞における微小管の制御がAktシグナルによって行われていることを明らかにできた。またAktシグナルが微小管の細胞膜へのanchoringに関与していること、このanchoring機構にはEB1という微小管結合タンパクの発現制御が重要な役割をしている可能性を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は細胞レベルで明らかになったことをin vivoでも明らかにしていく必要がある。そのためにはノックアウトマウスを作製し、これを用いた骨組織の研究を推進していく。今後はAkt 1 & 2の破骨細胞におけるダブルノックアウトマウスを作製する。このマウスの骨組織を骨形態計測やマイクロCTなどで詳細に解析するとともに、ノックアウトマウスから得られる破骨細胞の機能異常について分子レベルで詳細に解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費はノックアウトマウスの作成や細胞培養に必要な試薬の購入に使用する。
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