研究課題/領域番号 |
23659710
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平田 真 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (50401071)
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研究分担者 |
緒方 直史 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10361495)
乾 洋 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60583119)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 軟骨肉腫 / C/EBPβ |
研究概要 |
初年度となる平成23年度において以下の実績を上げた。各サブテーマ毎にその内容を記載する。1) 軟骨肉腫症例における臨床像とC/EBPβおよび基質分解関連因子の発現との相関の検討 1-1)軟骨肉腫症例におけるC/EBPβおよび基質分解関連因子発現の検討:これまで蓄積していた軟骨肉腫症例材料及び新規受診症例からの腫瘍組織を用いて、real-time RT-PCR、免疫組織学化学染色などによりC/EBPβ及び基質分解関連因子の発現レベルを評価した。広範切除の際に得られた正常関節軟骨におけるC/EBPβおよび基質分解関連因子の発現量と比べると、概して軟骨肉腫組織でのこれら因子の発現は高い傾向があった。特にC/EBPβと一部のMatrix Metalloproteinase (MMPs)の間で発現量の相関が認められた。 1-2)臨床像との相関の検討:症例毎に組織採取時の臨床情報を詳細に記録しデータベースを作製した。これまでのところC/EBPβおよび基質分解関連因子の発現レベルとの相関の解析により、有意となった因子は得られていない。2) C/EBPβ発現レベルと局所浸潤能の相関の検討 2-1) 軟骨肉腫組織からの細胞株の樹立および選別:軟骨肉腫症例の組織を用いて、独自の細胞株の樹立を行った。これまで数検体より得られた細胞株が腫瘍としての性質を維持していることを細胞形態、増殖能、足場依存性喪失の評価を行って確認した。さらに、こうして確立された細胞株の一部で軟骨細胞としての性質を維持していることを、mRNAとタンパクレベルで軟骨細胞における各種分化・増殖マーカー遺伝子の発現の評価を行って確認した。さらに、入手していた市販の軟骨肉腫由来細胞株も用いてC/EBPβ強制発現および発現抑制軟骨肉腫細胞株を一部の細胞株で樹立し、実際に強制発現、発現抑制をreal-time RT-PCRで確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下サブテーマ毎の評価を記載する。1) 軟骨肉腫症例における臨床像とC/EBPβおよび基質分解関連因子の発現との相関の検討 1-1)軟骨肉腫症例におけるC/EBPβおよび基質分解関連因子発現の検討:これまで蓄積していた軟骨肉腫症例材料及び新規受診症例からの腫瘍組織を用いて、real-time RT-PCR、免疫組織学化学染色などによりC/EBPβ及び基質分解関連因子の発現レベルを評価した。これは当初の予定にほぼ合致するものであり、本サブテーマは予定通りの遂行がなされていると判断できる。1-2)臨床像との相関の検討:症例毎に組織採取時の臨床情報を詳細に記録しデータベースを作製した。現在のところデータベースの作製は予定通りであるが、相関を検討したところで有意となる解析結果は得られておらず、今後の症例の積み重ねが必要と考えている。2) C/EBPβ発現レベルと局所浸潤能の相関の検討 2-1) 軟骨肉腫組織からの細胞株の樹立および選別:軟骨肉腫症例の組織を用いて、独自の細胞株の樹立を行った。これまで数検体より得られた細胞株が腫瘍としての性質を維持していることを細胞形態、増殖能、足場依存性喪失の評価を行って確認した。さらに、こうして確立された細胞株の一部で軟骨細胞としての性質を維持していることを、mRNAとタンパクレベルで軟骨細胞における各種分化・増殖マーカー遺伝子の発現の評価を行って確認した。さらに、入手していた市販の軟骨肉腫由来細胞株も用いてC/EBPβ強制発現および発現抑制軟骨肉腫細胞株を一部の細胞株で樹立し、実際に強制発現、発現抑制をreal-time RT-PCRで確認した。当初の予定では軟骨肉腫細胞株の樹立までが目標であったが、当初の予定より早く樹立が可能であったため、C/EBPβ強制発現・発現抑制細胞株の樹立まで可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進展していると判断しており、当初の予定通り研究を遂行していく予定である。具体的には以下の通りである。1) 軟骨肉腫症例における臨床像とC/EBPβおよび基質分解関連因子の発現との相関の検討:平成23年度に引き続き新規受診症例からの組織を用いた検討、臨床像と目的因子との相関についての検討を行う。2-2) C/EBPβ強制発現および発現抑制軟骨肉腫細胞株の樹立:平成23年度に樹立したC/EBPβの強制発現または発現抑制細胞株を用いて、細胞の増殖能を確認し、軟骨分化マーカーおよび各種基質分解関連因子の発現を確認する。 2-3) C/EBPβ過剰発現/発現抑制軟骨肉腫細胞と局所浸潤能のin vitroでの検討:C/EBPβの発現レベルの異なる複数のC/EBPβ過剰発現軟骨肉腫細胞株とC/EBPβ発現抑制軟骨肉腫細胞株を用いて、細胞の走化性、遊走性、基質分解能、浸潤能を検討する。3) C/EBPβ発現レベルと生体内における軟骨肉腫局所浸潤能・転移能との相関の検討 3-1) 生体内における軟骨肉腫細胞の局所浸潤能及び転移能の基礎検討:予備実験として軟骨肉腫細胞株をヌードマウスに移植し、移植局所の腫瘍と転移の発生を観察する。移植箇所は皮下軟部と骨髄内に設定し、至適生着部位及び観察期間などの条件を検討する。 3-2) 生体内における軟骨肉腫細胞のC/EBPβ発現レベルと局所浸潤能・転移能の相関についての検討:3-1)で行った基礎検討を元にC/EBPβを過剰発現または発現抑制した細胞株を至適生着部位に移植し、C/EBPβの発現量による腫瘍増殖の抑制や転移の発生頻度の変化を観察する。腫瘤の局在が皮下軟部の場合は経時的に腫瘤径の測定を行い、骨内・骨髄内の場合は、経時的にX線撮影を行い、骨透亮像の大きさを測定して増大速度を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記研究の推進方策のうち、次年度は以下について検討を行う予定である。1) 軟骨肉腫症例における臨床像とC/EBPβおよび基質分解関連因子の発現との相関の検討:平成23年度に引き続き新規受診症例からの組織を用いた検討、臨床像と目的因子との相関についての検討を行う。2-2) C/EBPβ強制発現および発現抑制軟骨肉腫細胞株の樹立:平成23年度に樹立したC/EBPβの強制発現または発現抑制細胞株を用いて、細胞の増殖能を確認し、軟骨分化マーカーおよび各種MMP, ADAMTS, TIMPの発現をrealtime RT-PCR法を用いて確認する。2-3) C/EBPβ過剰発現/発現抑制軟骨肉腫細胞と局所浸潤能のin vitroでの検討:上記2-2)により作製したC/EBPβの発現レベルの異なる複数のC/EBPβ過剰発現軟骨肉腫細胞株とC/EBPβ発現抑制軟骨肉腫細胞株を用いて、細胞の走化性、遊走性、基質分解能、浸潤能を検討し、C/EBPβの発現レベルおよび基質分解関連因子の発現量との相関を調べる。 以上の実験を遂行するための主な試薬消耗品としてプラスミドDNAの作成と精製の試薬キット、シークエンス試薬、Real Time PCR関連試薬、遺伝子導入試薬、免疫染色キット、各種抗体、細胞数測定試薬、増殖能定量試薬、浸潤能検討のためのMatrigel、その他細胞培養、大腸菌培養用の培地・培養液などが必要である。市販細胞株とマウスの購入費の他に細胞培養と動物飼育に伴って必要となる培地、飼料も消耗品として必要となる。研究成果についても、American Society of Bone and Mineral Research (ASBMR)、日本骨代謝学会、日本整形外科基礎学術集会をはじめとした国内外の学会で発表する予定であり、そのための旅費も計上している。
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