研究概要 |
平成23年度のGeneChipによる網羅的遺伝子解析の結果、坐骨神経切除による後肢不動モデルの骨細胞においてBK(Big Potassium)チャネルの構成分子遺伝子の発現が大きく変動していることを見出した。BKチャネルはカルシウム活性化カリウムチャネルサブファミリーの一つで、脱分極とそれに伴う細胞内カルシウムイオン上昇に応答して開口し、膜電位の再分極相や後過分極あるいは静止膜電位の過分極を引き起こす。BKチャネルは4量体構造で、全身の組織に広く分布しているKCNMA1(αサブユニット)と組織分布が特異的でBKチャネルの機能調整をおこなうKCNMB1-4(βサブユニット)で構成されている。BKチャネルは神経・心筋・血管平滑筋・腺組織などに高発現しており、それぞれの組織で重要な機能を担っている。しかし、骨細胞で機能は全くの未知である。骨量維持に重要な女性ホルモンであるエストラジオールがβサブユニットに作用してBKチャネルの開口作用を示すことからもBKチャネルの骨細胞での重要な機能が示唆される。骨細胞のRNAを用いたRT-PCRの結果から、骨細胞にはKCNMB1, 2, 4のサブユニットが発現していることが明らかとなった。Col1a1-mRFP1 TgとカテプシンK遺伝子座にgreen fluorescent protein遺伝子ノックインし破骨細胞を緑色蛍光で標識した遺伝子改変マウス (CaK-GFP KI)は作製が終了し、Col1a1-mRFP1 Tgとのダブルヘミマウスを作成した。現在、BKチャネルオープナー化合物およびブロッカー化合物をこのダブルヘミマウスの頭蓋骨骨膜下に注射投与し、共焦点レーザー顕微鏡を用いてin vivoにおける骨芽細胞および破骨細胞の細胞動態をライブイメージングを実施している。
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