研究課題/領域番号 |
23659718
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宿南 知佐 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (60303905)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | Scleraxis / Tenomodulin / 腱 / 靱帯 / 運動器 |
研究概要 |
mouse Scleraxis (Scx)遺伝子の下流には、Transgenic mice (Tg)によって確認された組織特異的な転写制御を担うenhancer領域が存在する。この領域に存在する腱・靱帯、軟骨での特異的転写制御を担うenhancerを分離・同定するために、GATA2 minimal promoter、GFP、insulator、tol2 elementsを有するZED Vectorに挿入したreporter plasmidとtransposase mRNAをzebrafish胚に注入して検討したが、enhancer活性が検出されなかった。しかしながら、zebrafish Scx遺伝子にEGFPを挿入したBAC cloneをTol2転移システムを用いてzebrafish胚に導入するとScx発現領域でGFPの発現が検出されたので、解析を進めている。また、mouse Scx遺伝子の下流に存在するenhancer領域に関しても、Tgを用いて解析を行っている。更に、骨髄由来の間葉系幹細胞にScxを異所性に発現させると、Scxの標的遺伝子の一つと考えられているTenomodulin (Tnmd)遺伝子の発現が、転写レベルで上昇することを見出し論文として成果を公表した。一方、ScxCre knock-in mouseを作製するために、ターゲティングベクターをES細胞に導入し、homologous recombinationによるScx遺伝子座へのCreのknock-in確認後、キメラマウスの作製を経て標的遺伝子組み換え体マウスを作製することに成功した。TnmdCre knock-in mouseに関しても、同様に進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ScxCre knock-in mouseに関しては、既に標的遺伝子改変マウスの作製を完了している。TnmdCre knock-in mouseについても、同様に進めている。mouse Scxのenhancer解析では、zebrafish胚ではなくTg胚で解析を進めているが、想定内の変更である。zebrafishでもScxは腱や筋間中隔に発現しており、魚類と哺乳類で共通のコアエレメントがenhancer領域内に見出される可能性があるので、zebrafish Scx遺伝子のBAC cloneを用いた解析も並行して行っている。このように、得られた結果に基づいて研究計画を臨機応変に修正しながら進めることが出来ており、研究目的の達成に向けておおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
mouse Scx遺伝子のenhancer活性の解析は、当初の計画を変更して、zebrafish胚ではなくTg胚を用いて引き続き行う。zebrafish ScxのBAC cloneで検出されたenhancer活性については、当初の計画には含まれていなかったが、Tg胚を用いた解析と並行して進める。前年度に作製したScxCre knock-in mouseに関しては、(ROSA)26Sortm9(CAG-tdTomato)Hzeを交配し、発生過程においてScxが発現する領域でreporter遺伝子の発現が検出されることを確認する。同様に、Tnmd-Cre knock-in mouseもreporter mouseと交配し、Tnmdの陽性細胞の局在分布が腱・靱帯を含む強靱結合組織に限局していることを確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
mouse Scx遺伝子のenhancer活性の解析をTg胚を用いて行うので、動物の作製、維持、解析の為の費用が必要になる。zebrafish胚を用いた解析では、魚施設の維持、injectionに必要な消耗品の購入を予定している。また、ScxCre Tg、ScxCre knock-in mouse、TnmdCre knock-in mouseの維持、分子生物学的解析、免疫組織学的解析に必要な消耗品を購入する予定である。
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