研究概要 |
マウスScleraxis (Scx)遺伝子の上流-4kbから下流+5kbを含む10.8kbの領域には、組織特異的な発現を担う転写制御領域が存在する。この10.8kbを重複するように3つの領域に分割し、LacZをレポーターとしてTransgenic (Tg)マウスでenhancer活性を検討した。その結果、組織特異性を制御する転写制御領域は主にScx遺伝子の下流に存在し、その領域を更に分割してTgマウスでenhancer活性を検討したところ、複数の組織特異的な転写制御領域が存在することが明らかになった。また、10.8kbの領域の制御下でCre recombinase (Cre)を発現するScxCre Tgマウスから樹立した2系統 (ScxCre-L,ScxCre-H)をそれぞれレポーターマウスと交配し、Creを発現する領域を詳細に解析した結果を論文発表した。更に、樹立したScxCre TgマウスをSox9のfloxマウスと交配したconditional knockout miceの表現型を解析しその成果を論文発表した。これまでの解析から、Scxは軟骨分化初期に一過性に発現し腱・靭帯が形成期にはその発現が低下することが明らかになっているので、10.8kbの領域の制御下でCreERT2を発現するTgマウスを作成し腱・靭帯特異的にCreを発現させるシステムを構築した。Tenomodulinの遺伝子座にCreをknock-inしたマウスについては、レポーターマウスと交配し解析を行なっている。一方、Scxの遺伝子座にCreをknock-inしたマウスもレポーターマウスと交配し、Scx発現領域でCreが発現することを確認し、これまでに知られていないScx発現領域が存在することも明らかにした(論文投稿準備中)。
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