研究課題
自己由来静脈血から得られるフィブリンクロットをスキャフォールドとし、ヒト滑膜幹細胞あるいはヒト半月板細胞を播種して三次元培養組織を作成し、その至適培養条件、免疫組織学的検討、遺伝子発現解析による組織の特性を検討した。さらに膝関節半月板再生治療材料としての可能性を検討するため、ミニブタを用いた移植実験を行った。1)至適培養条件:様々な条件下で自己由来三次元組織の培養を行ったところ、細胞数1x10*6個/20ml静脈血、10%ウシ胎仔血清存在下にて組織が良好に形成されることが明らかとなった。2)組織の特徴:免疫組織学的検討では、作成時多く存在する血液細胞数は、培養後2週間で約1/10に減少し、逆に播種した滑膜幹細胞、半月細胞は約100倍に増加した。また組織内には1型コラーゲンが認められた。また遺伝子解析にてアグリカン、1型コラーゲン、3型コラーゲンの発現を認めた。3)移植実験:ミニブタの内側半月板前節に径5mmの欠損を作成し、三次元組織補填群、欠損群、フィブリンクロットのみの補填群の3群で手術後3か月後に解析した。肉眼的には感染,癒着、関節炎は認めなかった.組織学的には、三次元組織補填群群、フィブリンクロットのみの補填群群では関節包からの滑膜増生を認めた。組織充填率は三次元組織補填群:67%、欠損群:52%、フィブリンクロットのみの補填群:68%と欠損群で低い傾向にあった。組織スコアリングでは3群間に有意差は認めなかった.フィブリンクロットをスキャフォールドとして滑膜細胞を移植した半月板再生治療は、フィブリンクロットのみを充填する群を比べ優位性を認めなかったが、組織移植は可能であった.
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