研究課題/領域番号 |
23659726
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
安達 伸生 広島大学, 病院(医), 准教授 (30294383)
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研究分担者 |
越智 光夫 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (70177244)
出家 正隆 広島大学, 医歯薬保健学研究院(保), 教授 (30363063)
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キーワード | 変形性膝関節症 / 機能的磁気共鳴画像 / 慢性疼痛 / 前頭前野背外側部 |
研究概要 |
【背景】近年、運動器疾患の慢性疼痛の脳機能イメージングの研究が報告さおり、慢性腰痛の脳活動部位が明らかにされつつある。一方、変形性膝関節症のような関節疾患の痛みの脳局在については未だ明らかにされていない。 【目的】機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いて変形性膝関節症患者の疼痛に関連する脳活動を明らかにすること。 【対象と方法】変形性膝関節症患者と健常者を対象とし、3.0T-MRI(GE社製 MR装置:Sign® EXCITETM HD)を用いfMRIを撮像した。実験デザインはブロックデザインを用い、疼痛誘発は表皮内電極で右膝内側にnumerical rating scale4の定量的刺激を行った。解析は、SPM8を用い群間の比較と、活動領域の関係の解析をするため、Psycho-Physiologic Interaction analysisを行った。さらに主観的評価法であるMcGill Pain Questionnaire(MPQ)、Pain Catastrophizing Scale(PCS)、SF-36(健康関連QOL)との脳活動の関連について検討した。 【結果】変形性膝関節症患者ではpain matrixにおける両側の前頭前野背外側部(DLPFC)に有意(uncorrected p< 0.001)な活動の増加を認めた。変形性膝関節症患者では、健常者と比較してDLPFCの活動とpain matrixとの活動の関連が低下していた。またDLPFCとMPQは正の相関を認めた (r=0.056,P=0.005)。 【考察】DLPFCの活動は疼痛の抑制に関与している部位として知られている。変形性膝関節症患者において、疼痛や不安感が強い者ほど、DLPFCの活動の増加を認め、脳内の正常な疼痛認識経路の破綻が生じ、前頭前野背外側部の過活動が疼痛抑制に関与している可能性が示唆された。
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