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2011 年度 実施状況報告書

結合組織マトリックスタンパクの質量解析の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23659727
研究機関徳島大学

研究代表者

佐藤 紀  徳島大学, 大学病院, 医員 (00448333)

研究分担者 安井 夏生  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00157984)
東野 恒作  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80380129)
合田 有一郎  徳島大学, 大学病院, 医員 (70581148)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード細胞外マトリックス / コラーゲン / エラスチン / 質量解析 / 不溶性
研究概要

本研究の目的は、今まで不可能と言われていた結合組織マトリックスタンパクの質量解析を確立することである。腱と靭帯など結合組織のマトリックスは巨大分子の集合であるため、不溶性である。そのため、従来のタンパク解析方法では、組織が完全に可溶化されず、成分解析を十分に行うことが出来なかった。結合組織疾患の病態把握には、マトリックスタンパクそのものの解析を行う必要があると考え、本研究の着想を得た。 本研究では、化学物質や複数のタンパク分解酵素を段階的に用いることにより、ヒト組織の完全可溶化に成功した。さらに、質量解析の手法を用いて、可溶化したサンプル(断片化したペプチド)から親分子であるタンパク質の検出にも成功した。手術時に得られたヒトの腱(アキレス腱)・靭帯(黄色靭帯)を用いて、上記の方法を確立した。当方法により、これまで検出できなかった、種々のコラーゲンやエラスチン、プロテオグリカン(バーシカン、ビグリカン、フィブロモデュリン等)、接着性タンパク質(フィブロネクチン、ラミニン、インテグリン等)の検出に成功した。当初の計画では、上記方法を確立後、正常なヒト腱・靭帯の構成タンパクを部位別に検討する予定であったが、日本において正常な組織の採取は非常に困難であったため、ウサギの腱(アキレス腱・膝蓋腱・長母趾屈筋腱・長母趾伸筋腱)と靭帯(膝側々副靭帯・膝十字靭帯・黄色靭帯)を用いて部位別に検討することとした。ウサギの腱・靭帯においても、種々のコラーゲン類やエラスチン等を検出することに成功した。今回の測定結果では、弾性線維であるエラスチンは、腱では検出されなかった。一方、靭帯では、ともにエラスチンが検出されたが、黄色靭帯では多量に認められた。本結果からも、他の靭帯と比較して黄色靭帯は特殊な靭帯であることが認識された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今まで不可能と言われていた結合組織マトリックスタンパクの質量解析を確立できたから。細胞外マトリックスが豊富な組織(腱・靭帯)の完全可溶化に成功し、質量解析の手法を用いて、可溶化したサンプルからタンパク質の検出に成功した。

今後の研究の推進方策

手術に得られた病的な腱・靭帯(疾患群)を完全可溶化し、質量解析にて構成タンパクを同定する。とくに、当大学病院においては、腰部脊柱管狭窄症における肥厚した黄色靭帯を採取できる機会が多いため(当大学倫理審査委員会にて承認済み)、腰部脊柱管狭窄症を中心に構成タンパクを同定し、病態の主座をつきとめる。

次年度の研究費の使用計画

(1)当該研究費が生じた状況当初の計画では、本研究方法(ヒト組織の完全可溶化後、質量解析によるタンパク質の同定)を確立後、正常なヒト腱・靭帯の構成タンパクを部位別に検討する予定であったが、日本において正常な組織の採取は非常に困難であったため、ウサギの腱(アキレス腱・膝蓋腱・長母趾屈筋腱・長母趾伸筋腱)と靭帯(膝側々副靭帯・膝十字靭帯・黄色靭帯)を用いて部位別に検討することと変更したため。(2)翌年度以降に請求する研究費とあわせた使用計画既に採取済みの腰部脊柱管狭窄症における肥厚した黄色靭帯を用いて、構成タンパクを同定するために必要な試薬(質量解析試薬、タンパク分解酵素、免疫染色試薬等)、実験器具(質量解析用カラム等)、国内旅費(学会発表等)、質量解析装置使用料、論文作成のための翻訳・校閲のための費用を要す予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Mineral to matrix ratio determines biomaterial and biomechanical properties of rat femur-application of Fourier transform infrared spectroscopy2011

    • 著者名/発表者名
      Takata S
    • 雑誌名

      J Med Invest

      巻: 58 ページ: 197-202

    • 査読あり
  • [学会発表] Quantitative Proteomic Analysis of Human Tendon and Ligament2012

    • 著者名/発表者名
      Nori Sato
    • 学会等名
      ORS 2012 Annual Meeting
    • 発表場所
      San Francisco, CA, USA
    • 年月日
      February 4-7, 2012
  • [学会発表] 不溶性細胞外マトリックスの可溶化と解析-ヒト腱・靭帯のプロテオーム解析-2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤紀
    • 学会等名
      第43回日本結合組織学会学術集会
    • 発表場所
      別府ビーコンプラザ(大分県)
    • 年月日
      2011年6月10-11日

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公開日: 2013-07-10  

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