研究課題
人工関節の軸受材料である超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の摩耗粉は骨融解や、これに伴う人工関節のゆるみの原因となっている。これは白血球の一つであるマクロファージが摩耗粉を貪食し、炎症系のサイトカインを放出するからである。摩耗粉のサイズが1.0μm以下になるとその減少は顕著となり、その総摩耗粉量により反応の度合いが変わってくる。本研究では、UHMWPEの相手材料として利用されているCo-Cr-Mo合金の研磨法を工夫することで、従来よりも摩耗粉を肥大化(1.0μm以上)させ、かつ総摩耗量を約50%以下に抑制することが可能であることを実験的に証明した。Co-Cr-Mo合金を研磨する際に利用する砥粒の工夫、および研磨条件を最適化することで、微細なディンプルや溝を有する超平滑(Ra=1nmレベル)面を創成することに成功し、これを適用したpin-on-disc摩耗試験を実施した。その結果、この面により発生するUHMWPE摩耗粉では炎症性サイトカイン(IL-6)の発現が抑制され、超寿命人工関節の開発が可能であることを示すことができた。特に平成25年度においては、研磨面の高速処理とより高精度な加工方法の探究を行い、遊離砥粒を処理対象面に高速噴射する新しい処理法を見いだした。これは実際の人工関節への適用を容易にし、本技術の実用化にメドをつけることになった。また、他機関による追実験を容易とし、かつ、他機関の協力が得られやすいように試験方法、特に潤滑液について世界的な標準仕様を適用した実験においても、上述の効果を確認することができた。
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臨床バイオメカニクス
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非破壊検査
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http://www.mech.kumamoto-u.ac.jp/Info/lab/biomech/