研究課題/領域番号 |
23659730
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研究機関 | 平安女学院大学 |
研究代表者 |
楠崎 克之 平安女学院大学, 平安女学院大学・文化創造センター, 客員教授 (30177993)
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研究分担者 |
芦原 英司 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70275197)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | アクリジンオレンジ / 光線力学的治療法 / がん免疫 / エクソゾーム / 骨肉腫 |
研究概要 |
我々はごく最近、アクリジンオレンジを用いた光線力学的療法で骨肉腫細胞がアポトーシスに陥る際に大量の微粒子が細胞から放出されることを発見した。この微粒子にはexosomeが含まれ、がん特異抗原を含有している可能性が高い。本研究ではこの微粒子をマクロファージないし樹状細胞に取り込ませて高い効率でがん免疫を誘導して、骨肉腫細胞を破壊することができるかどうかについて探索する。Dunn骨肉腫から樹立されたマウス高転移骨肉腫細胞株、LM8をDMEM培地で培養し、pre-confluentの状態で1μg/mlの濃度のAO培養液に交換して10分間AOに暴露した後AOを洗浄し10,000ルクスのキセノン光を10分間照射する。2時間後に大量の微粒子が放出されるのでこれをExQuic溶液を用いて遠心分離し、培養したマウスマクロファージと接触させる。このマクロファージをマウスTリンパ球と混合培養してリンパ球を感作する。次いでこのリンパ球とLM8骨肉腫細胞を混合培養してTリンパ球の細胞障害を解析する。AO暴露と光照射によりLM8細胞は30分以内にapoptosisに陥るが、この時細胞膜にblebが形成されるとともにこれが細胞から遊離する。その内部にはナノサイズの微粒子が大量に存在しブラウン運動様に微動を繰り返していた。また同様の微粒子が破れたblebや細胞内から培地内に大量に放出されていた。これを、ExoQuickを用いて遠沈したところ大量の微粒子だけを単離できた、大きさは10~100ミクロンで、電子顕微鏡で形態的にexosomeであることが確認できた。またexosomeの特異的蛋白であるLAMも検出できた。現在この採取できたexosomeをマウスマクロファージに貪食させて、Tリンパ球を感作し、LM8に対する抗腫瘍効果を評価している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究計画はほぼ予定通りに進んでいるが、in vitroでの抗腫瘍効果については現在解析中でありやや遅れている。その理由としては地震や国会の予算が決まらなかったことで交付金の送付が遅れたために研究をスタートするのが7月にずれたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
In vivoにおける骨肉腫細胞に対するがん免疫の誘導実験培養したLM8細胞を単離してC3H blackマウスの背部皮下に移植する。約2週後に直径1cm程度の腫瘤を形成した後に、in vitroで得られたexosomeを腫瘍周囲の皮下に注射して皮下の樹状細胞およびマクロファージにexosomeに含まれる腫瘍抗原を取り込ませる。これによりリンパ球が感作されれば腫瘍が縮小するはずなので腫瘍の増大を経時的に観察するとともに延命効果についても検討する。また肺転移抑制効果についても同時に解析する。さらにはこのマウスのリンパ球を採取して実際にLM8に対する抗体を産生しているかどうかについても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主にマウスの購入、細胞培養にかかる消耗品、各種の試薬の購入、学会発表、論文作成などに使用する。
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